慰謝料請求時に気を付けるべきことは?

 
 

慰謝料請求の方法

 

配偶者が不貞した場合には、他方配偶者から不貞相手及び不貞をした配偶者に対して、慰謝料請求をすることができます。

不貞行為の被害にあってしまった場合には、被害にあった配偶者側としては動揺や、不貞相手への怒りが大きく、時に法律的な視点から見て、ふさわしくない行動に走ってしまうことがあります。

慰謝料請求、という言葉は、芸能ニュースやインターネットの記事などで目にすることが増え、身近なようにも感じられます。しかし、これも立派な法律問題であり、様々な法律のルールに縛られています。

そこで、法的な観点から、慰謝料請求の際に、どのようなことに気を付けるべきかを解説していきます。

 
 

交渉の際の注意点

 

慰謝料請求をする1つの方法として、不貞をした側と示談をするという方法があります。

示談の方法は様々ですが、たとえば相手を呼び出して面談し、慰謝料額について協議して、書面にまとめるなどの方法があります。

ここで、注意が必要なのは、示談の状況、そして内容です。

弁護士を入れずに当事者間で示談をした場合に、不貞をした側の言い分としてよくあるのが、「無理やり示談をさせられた」というものです。

法律上、脅すなどして無理やり示談させられてしまった場合には、それをなかったこと(無効あるいは取り消し)にすることができます。

一般的に、不貞をした側は、不貞をされた側に負い目があるので、あまり納得していない示談内容であってもその場を逃れるために示談してしまうことがあります。

のちに示談内容の効力について争いになったときに備えて、当事者間で問題なく合意できたことを証明できるようにしておきましょう。

そのためには、示談した場面を録音、録画するなどして保存しておくことです。

また、示談内容が法外なものであった場合にも、無理やり示談させられたのではないかという推認が働いてしまうので、注意が必要です。

また、大前提ですが、示談した内容は必ず書面化しておきましょう。

 
 

裁判の際の注意点

 

慰謝料請求の裁判においては、被告(つまり不貞をした側)から様々な反論がなされます。たとえば、肉体関係はなかったという反論や、配偶者がいるとは知らなかったなどという反論があり得るでしょう。

裁判では、交渉のような駆け引きではなく、どれだけ客観的な証拠を持っているかが勝敗を分けます。

どのような証拠が有効かは、個別具体的な事案によって異なるので、弁護士とよく相談し、訴訟戦略を練りましょう。

 
 

消滅時効に注意

 

不貞された配偶者(被害配偶者)から不貞相手に慰謝料請求をする権利は,民法上の分類でいうと,「不法行為に基づく損害賠償請求権」に該当します。

不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効についての条文は,次のとおりです(改正後の条文による)。

 

第七百四十二条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

不法行為による損害賠償の請求権は,次に掲げる場合には,時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき

 

この条文にいう「加害者を知った時」とは,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに,その可能な程度にこれを知った時を意味します。つまり,被害配偶者が,不貞相手の住所氏名を知らないような場合,「加害者を知った」とは言えず,三年の時効にかからない可能性があります。

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