離婚慰謝料請求が発生する事案とは

 
 

離婚慰謝料は、請求したいと思っていても100%請求できるわけではありません。そのため、離婚慰謝料を請求するためにはどのような事案で慰謝料が発生するのか知っておく必要があります。

 

どのような状況で離婚慰謝料が発生するか知っていれば、自分自身が当事者になったときにもスムーズに話を進めやすくなります。

 

弁護士などの専門家に相談する場合も、どのような理由で慰謝料を請求したいのか伝えやすくなるでしょう。

 

今回は、離婚慰謝料が発生する事案の中でも特に事例が多いものをピックアップしてご紹介しましょう。

 
 

浮気や不貞行為といった有責行為があった場合

 

夫もしくは妻が浮気や不貞行為をした場合、離婚が認められる可能性が高いです。

また、同時に慰謝料請求が行われることが多いです。

 

不貞行為をした時の慰謝料は、夫婦関係が継続する場合と離婚をする場合で異なります。夫婦関係が継続する場合は50万円~100万円、離婚をする場合は200万円~300万円が相場となっています。

 

浮気相手に過失や故意があり、因果関係が認められると、浮気相手にも慰謝料請求が可能です。

過失や故意というのは、既婚者だと知っていたのに交際をしていたり、気を付けて見ていれば既婚者であるという事実を知ることができたりした場合を指します。

 

そして、

 

  • ・不貞行為が何年も続いている
  • ・不貞行為で別居することになった
  • ・浮気相手と配偶者が同棲している
  • ・浮気相手が夫の子どもを妊娠した
  • ・不貞行為の事実を知って精神疾患を患った

 

など、精神的な苦痛が大きいと慰謝料が高額になる可能性が高まります。

また、夫婦の婚姻期間や子どもの有無も離婚慰謝料には大きな影響を与えるため、それを踏まえて決めることになるでしょう。

 
 

DVをされた場合

 

DVは、民法770条における「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たります。

 

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかは、DVがどのくらいの頻度で行われていたのか、どのようなことをされていたのか、期間はどのくらいか、被害の程度がどのくらいかといった点を考慮して判断されます。

 

DVで離婚をする場合は、映像や録音データ、内容を記した日記、怪我や痣の写真、心療内科などの診断書、壊された所有物の写真を証拠として提出しなければいけないため、離婚を考えているのであればきちんと証拠を残しておくようにしましょう。

 

DVが原因で離婚をする場合は、配偶者に対して慰謝料を請求できます。

協議離婚や調停離婚で合意に至らないケースでは、離婚裁判を行います。

 

そのような場合の離婚慰謝料は100万円~300万円が相場ですが、過去には800万円の慰謝料が認められたケースもあるので裁判を行う価値はあるでしょう。

 

慰謝料の額は、DVの頻度や期間だけではなく、被害者側に落ち度がないことや婚姻期間の長さ、子どもの有無、相手の社会的地位、資産、収入なども考慮されます。

 
 

悪意の遺棄とみなされる場合

 

悪意の遺棄は、離婚が成立する要因の1つです。夫婦関係が破綻してしまうことがわかっていながら、同居をしなかったり、生活費を家計に入れなかったりした場合に認められます。

 

夫婦は、一緒に暮らして助け合うことが法律で義務付けられているため、悪意の遺棄は法律に反する行為だと言えます。

 

悪意の遺棄を立証するためには、別居していることを示す書類や家を一方的に出ていったことが分かるメモやメールの履歴、生活費が支払われていないことを示す通帳記帳などが必要です。

 

法定離婚自由の1つではありますが、証拠はたくさんあればその分有利に話を進めることが可能となります。

 

悪意の遺棄が原因で離婚をした場合の慰謝料が高額になるのは、客観的に不法行為であることが立証され、証拠が残っている場合です。

 

悪質性が高ければ高いほど慰謝料は高額になるでしょう。どのようなものが証拠になるのか、不法行為として立証できるのかといった点については、離婚裁判などの経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

 
 

モラハラをされた場合

 

モラハラは、DVと異なり肉体的に傷つけることはありませんが、配偶者に対して精神的な苦痛を与え続けます。

 

これも、離婚の理由になります。もちろん証拠はしっかりと残しておく必要があるので、日記や音声データ、メールなどの履歴、医療機関の受診記録、診断書などは残しておきましょう。

 

モラハラによって受けた精神的苦痛を主張して慰謝料を請求する場合は、医療機関への受診記録や診断書が証拠として有効になるケースが多いです。

 

精神的な苦痛を受けて不調が続いているのであれば、医療機関へ受診し診断書を書いてもらえるか相談してみてください。

 

姑からのモラハラが原因で離婚をしなければいけない状況になった場合でも、慰謝料の請求は可能です。夫婦関係が悪化して婚姻関係を継続することが難しくなり、姑の行為が客観的に見て不法行為だと見なされた場合に限ります。

 

姑からのモラハラで慰謝料の請求をしたいと考えているのであれば、専門的な知識や実績を持つ弁護士に相談してみましょう。

 
 

まとめ

 

離婚をする場合、必ず離婚慰謝料の請求ができるわけではありません。

離婚慰謝料を請求したいと考えているのであれば、慰謝料が発生する事案に当てはまるかどうかを確認しなければいけないのです。

 

また、慰謝料が発生する事案だったとしても、婚姻関係の長さや子どもの有無、配偶者の社会的地位、保有している資産などによって慰謝料の金額が大幅に変わる可能性もあります。

そのため、どのような状況ならいくら請求できるとは言い切れません。

 

状況によって請求金額が変わってくることもあるため、慰謝料を請求したいと考えているのであれば弁護士への相談がおすすめです。

 

離婚に関する問題を解決した実績がある弁護士であれば、より的確なアドバイスやサポートをしてくれます。

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