合意した慰謝料が支払われない場合の対応
大切な人に不倫をされ、その不倫相手に慰謝料を請求しても支払われないケースは少なくありません。
不倫相手としては、「自分は悪くない」「支払うお金がない」などと言い訳をして支払いを拒否していることが考えられます。
しかし、慰謝料を請求した段階で合意した場合は支払う必要があるでしょう。
そこで、不倫相手に慰謝料を支払ってもらうための方法をいくつかご紹介します。
合意したにも関わらず慰謝料が支払われずに悩んでいる人は参考にしてください。
慰謝料が支払われない!督促状を活用しよう
不倫が発覚し、慰謝料の額に合意があっても期限内に支払われないケースもあります。
期限が過ぎても何も連絡がなく、連絡をしても無視をされてしまえば、どうしたら良いのかと不安になるでしょうが、慰謝料の支払いを促すために「督促状」を送付することも考えてみましょう。
督促状は、書類の提出や料金の未払いなどを促す際に活用されます。
不倫慰謝料の際にも使用することができ、法的な拘束力はありませんが「督促状」が送られてきたことで相手の心を揺さぶることはできるでしょう。
督促状を送付する際には、普通郵便ではなく「内容証明郵便」を使用してください。
自分の手元だけではなく郵便局にも督促状を送ったことが記録に残り、督促を立証する際に役立ちます。
慰謝料が支払われない!強制執行もある
督促状を送付しても相手から何も反応がない場合は、「強制執行」に踏み切ることもひとつの手です。
強制執行は、慰謝料を支払う約束をしたにも関わらず、支払われない際に活用することができます。
財産を強制的に差し押さえることで、慰謝料の支払いを実行できるのです。
強制執行なので、自分自身で勝手に財産を奪うことだと想像する人も中にはいますが、強制執行は裁判所の許可が必要です。
流れとしては以下の通りとなるのでチェックしていきましょう。
①申立て
まずは、管轄の裁判所に必要書類を提出して申立てを行います。
②差押え命令
提出した書類に不備が無ければ裁判所から差押え命令が出るので、強制執行に移ります。
ただし、差押え命令は送達された時点で発行されるのでタイミングが重要です。
給料を差し押えたい場合には、支払日の前に金融機関に送達されるようタイミングをとりましょう。
③取立て
債権差押えであれば、差し押さえから1週間が経つと直接取立てを行うことが可能です。
銀行口座の差押えであれば、金融機関に預金を引き渡すように請求できます。
強制執行には、給与の差押えや銀行口座の差押えがあります。
強制執行の中でも最も多く使われるのが給料の差押えです。
しかし、生活するためにはお金は欠かせません。
そのため、給料を差し押える際には原則1/4相当しか差押えを行うことはできません。
毎月20万円の給料をもらっている人であれば、5万円まで回収できる仕組みなので、あらかじめ把握しておきましょう。
ただし、給料の差押えを行うと会社に不倫の事実がバレてしまいます。
会社にバレることを恐れている場合、給料の差押えを行うことを通達するだけで、相手から動きがある可能性もあるでしょう。
銀行口座の差押えは、預貯金がある相手に行う場合に有効な手段で、銀行支店宛に裁判所から執行文が送付されます。
慰謝料が支払われないことを防ぐための方法
慰謝料が支払われないためには事前の準備が肝心です。
慰謝料請求に関しては、不倫相手との交渉で金額が決まりますが、早く終わらせようと合意された内容を書面化せずに終わらせようと考える人もいます。
しかし、それは合意の証拠がないと判断されてしまうため危険です。
トラブルを防ぐためには、「公正証書」の作成を行いましょう。
公正証書は公証人が作成する文書のことを言い、遺言書で活用されるケースが多いです。
不倫慰謝料では、慰謝料の請求権について明記することで、相手が慰謝料の支払いを拒否した場合でも訴訟手続きを行うことなく強制執行に移せるのです。
ただし、当事者同士が公証役場に出向くことが必要になるので注意しましょう。
また、パートナーに慰謝料を請求する場合には調停離婚を行うことも有効です。
調停離婚の中で慰謝料についても請求をすることで、成立すれば調停証書に明記されるため、慰謝料が支払われない場合には強制執行の手続きができることになります。
感情的な行動はNG
慰謝料が支払われないことで感情的になってしまう人は多いです。
以下のような行動は自分を不利な状況にする要因となるため注意してください。
誹謗中傷を行う
SNSや掲示板などに不倫相手の誹謗中傷を書き込む人がいます。
相手を陥れよう、追い詰めようと考えて実行するのでしょうが、名誉毀損罪となり相手から慰謝料を請求されてしまう可能性があるので注意しましょう。
実家や職場に押し掛ける
慰謝料が支払われないことで、不倫相手の実家や自宅、職場に足を運ぶ人もいます。
職場で騒ぎ立てる行為や暴言を吐く行為は、罪に問われることも考えられます。
腹が立ってしまう気持ちは分かりますが、押し掛けるような行為はしないようにしましょう。
退職の要求
パートナーが同じ職場の人と不倫をした場合、不倫相手に退職を要求する人も多いです。
同じ職場にいれば毎日顔を会わせるので、再度不倫をしてしまうのではないかと不安になるのでしょう。
しかし、不倫をしたからといって退職する必要はありません。
無理に退職をさせる行為は強要罪に問われる可能性もあるので気を付けてください。
まとめ
不倫相手や不倫をしたパートナーからの慰謝料が支払われないと、不安になってしまう、腹が立ってしまうといった複雑な感情になります。
しかし、感情的な行動は自分を陥れるだけなので冷静になって行動することが大切です。
督促状や強制執行に関する手続きは、適切な対応が肝心なので自分一人ではできない可能性もあります。
手間や時間を抑えるためにも、不倫慰謝料に詳しい弁護士に相談することでスムーズな解決が期待できるでしょう。