離婚協議書を公正証書にするには

離婚するときの条件は書面にしておくべき?

 

離婚をするときには、子どものこと、財産のことなど、様々なことを離婚するに先立って取り決めておく必要があります。

一般的には、離婚するにあたっては、①親権、②養育費、③財産分与、④慰謝料、⑤面会交流、⑥年金分割について取り決めておくことが多いです。

それでは、上記のような事柄を取り決めるとして、それを、どのように残しておくべきでしょうか。

 
 

離婚する方法の種類

 

離婚は、一般的には、夫婦双方が離婚届に署名捺印し、役所に届け出ます。これが、「協議離婚」という方法です。

それ以外には、家庭裁判所での離婚調停で離婚を成立させる「調停離婚」、離婚裁判の判決で、裁判所が強制的に離婚させる「裁判離婚」、裁判中の和解手続において離婚をする「和解離婚」があります。

このうち、協議離婚以外の方法の場合、調停離婚であれば調停調書で、裁判離婚であれば判決で、和解離婚であれば和解調書で、明確に書面で離婚条件が定められています。

他方、協議離婚においては、親権だけは、そもそも離婚届に記載しなければならないので書面化されますが、それ以外の条件については、書面に残すさずとも、そもそも取決めをせずとも、離婚をすることができます。

しかし、離婚条件を書面で明確に残しておかなければ、後の紛争のもととなるので、必ず、離婚協議書で取り決めた内容を残しておくべきです。

書面に残す場合、どんな紙であっても効力を生じることには変わりませんが、お勧めする方法は、「公正証書」で離婚協議書を作成することです。

 
 

公正証書とは

 

公正証書とは、公正証書にしたい事柄(離婚等)を公証人に説明して、公証人がその内容を適法な文書に作成し、当事者及び公証人が署名押印し、公文書として作成されるものです。

公正証書において、金銭を支払う約束をして、かつその約束を守らないときには、直ちに強制執行に服する旨の陳述(強制執行認諾文言)がされている場合、別途訴訟などを起こさなくても、直ちに強制執行をすることができます。強制執行とは、債務者の動産、不動産、給与債権、預貯金などの財産を取り立てることです。

反対に、金銭債務以外の債務、たとえば建物を明け渡す、物を引き渡すなどの債務は、公正証書だけでは強制執行はできません。

 
 

公正証書を作るには

 

離婚協議書を公正証書にするには、まずその内容を当事者間で決めておく必要があります。そのため、離婚条件に大きな対立がある場合には、いきなり公正証書を作ることは難しくなります。

離婚条件がまとまったら、公証人と協議し、最終的な原稿を作成してもらいます。

公証人とは、公正証書を作る専門家で、裁判官や検察官などを長く務めた法律実務の経験豊かな者です。公証人は、弁護士や司法書士と異なり、一方当事者の利益のために動くのではなく、中立的な立場で活動しています。

最終的に、公証人が当事者の面前で公正証書を読み上げ、署名押印することで、公正証書は完成します。

公正証書作成にあたっては、公証役場に所定の手数料を支払う必要があります。

 
 

公正証書は、当事者間だけで作れる?

 

公正証書は、必ずしも弁護士などの専門家に依頼しなくとも、作成することは可能です。

ただし、公証人は、上記のとおり中立的な立場から業務を行うので、公正証書の体裁を整えてくれることはしますが、その内容に立ち入って、いずれかの当事者に有利になるようにアドバイスすることはありません。

そのため、公正証書の内容に法律的な問題がないかを確認し、自身あるいは当事者双方の希望により沿った内容での公正証書を作りたい場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。

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