不倫慰謝料を請求されたときに、まずすべきことは?

丸呑み・無視厳禁

 

「突然、不倫相手の配偶者から高額な慰謝料を請求された」

「不倫相手の配偶者の代理人弁護士からの慰謝料請求の内容証明郵便が届いた」

これらの請求は通常予告なしにやってきます。突然のことで気が動転し、目の前の問題から逃れたくて相手の要求を丸呑みしてしまったり、あるいは、無視したり…。

どちらもお勧めしません。

 
 

丸呑み

まず、苦しさから逃れるために相手の言われるままに示談交渉をしないことです。

相手方の請求は、特に、弁護士が代理人でない場合、非常に高額である場合が多いので、この時点ですぐに示談して、書面化してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。争う点や減額する要因があるならば、むしろ、裁判まで持ち込んだ方が、証拠により客観的で妥当な金額で認容されます。

 
 

無視

まったく無視することも避けましょう。相手方を、より激怒させ、訴訟外の話し合いを飛ばして、訴訟をしてくる可能性が高くなってしまいます。

 

方針と対応

 

では、具体的にどのように対応すればよいのでしょうか?

採りうる方針とそのために確認すべきことを解説します。

 

慰謝料請求された場合、考えられる方針としては、①慰謝料支払い義務を否定する場合と、②不法行為の成立は認めるが慰謝料の減額を求める場合があります。

 

①慰謝料支払い義務を否定する場合

 
 

否定する根拠

不倫慰謝料は、不貞行為を理由とする民法上の不法行為責任を根拠とします。

そこで、以下のような事情があった場合、不法行為責任は否定されます。

 

  • 不貞行為(性交渉およびこれに類する行為)がない
  • 肉体関係はあったが、既婚者であることを知らず、そう信じることに不注意はなかった
  • 不倫関係を始めるよりも前から夫婦関係が破綻していた
  • 不倫相手の配偶者が不貞行為及びその相手を知った時から3年以上経過している(時効消滅)、あるいは、不貞行為が始まった時から20年経過している(除斥期間)

 
 

確認すべき事項

 

冷静に指摘内容の確認

まずは、冷静に請求内容(指摘された事実と請求額)の確認をしましょう。

実際に事実があったのであればその期間や態様、さらに、その当時の夫婦の状況についての認識等を、日記や行動録を見ながら入念に確認します。金額に関しては、中には金銭要求が主目的ではなく、謝罪と改善策を求めている場合もあります。

そして、差出人が代理人の弁護士であるかどうかも確認します。弁護士が差出人の場合は、法外な請求であることは考えられず、また、裁判に向けた準備も並行して行われていることが予想されます。早急にこちら側も弁護士に相談するのが賢明でしょう。

その上で、支払いを拒絶する方法を考えます。

 

対応

 
 

不倫慰謝料を請求されたときに、まずすべきことは?

 
 

支払いを拒む意思表示

無視を貫くという方法もありますが、先に述べた通りお勧めしません。〝無視していない″という証拠を残すためにも配達証明付きの郵便で返答を送ることが望ましいです。

ただ、不法行為責任の不成立等を主張するには法律知識や立証のためのテクニックが必要です。このような知識なく、単に支払い拒絶の意思を伝えるだけでは「やった、やってない」の水掛け論になりかねません。事前に弁護士等の専門家に相談するとよいでしょう。

 

②不法行為の成立は認めるが慰謝料の減額を求める場合

 
 

根拠

判例によると、不倫の慰謝料の相場は50~300万円です。このように金額に大きな幅があるのは、慰謝料というものが複数の要素から成り立っているからです。

このうち、減額要素となるのは以下の事情です。

 

  • ・請求額が慰謝料相場からかけ離れている
  • ・不倫関係にある前から夫婦関係が悪かった
  • ・不倫関係は相手からの誘いで始まった(独身者だと騙された、すぐに離婚するからと言われた等)
  • ・不倫判明後、不倫以外の理由で離婚した
  • ・不貞行為の回数が少ない
  • ・あなたの資産・収入が少ない
  • ・あなたが深く悔いて反省している、など

 
 

確認すべき事項

 
 

相手の手持ちカードの確認

慰謝料請求してきた不倫相手の配偶者は、ある程度の証拠を収集しており、不倫相手からもあなたの名前、住所はもちろんのこと、不倫関係の経緯などをかなり聞いているものと思われます。

そこで、できることなら、すぐに不倫相手と連絡をとって情報交換をしましょう。なぜなら、不倫関係の情報は、あなたの不倫相手からその配偶者に漏れてしまっており、防衛していくためには、相手の取得情報量を確認する必要があるからです。

そして、不倫相手とあなたとは、共同不法行為者となって連帯責任を負う以上、お互い協力して、慰謝料請求額の減額をしていかなければなりません。

不倫相手がまったく協力してくれない場合、つまり、不倫相手の配偶者側についた場合は、残念ながら、一人で戦っていかなければなりません。ただし、この場合、不倫相手とその配偶者との間である程度の修復が出来ている場合もあるので、その場合は、請求額の減額要因となります。

 

対応

 

不倫慰謝料を請求されたときに、まずすべきことは?

 
 

さらなる不法行為の回避

不倫関係が事実であるならば、深く反省した態度をとり、きっぱりと不倫関係を断ち切り、二度と会わないようにして、できるだけ請求者の被害感情を鎮めるようにしましょう。悔悛の情は慰謝料減額事由であるだけではなく、発覚以降も不倫関係を継続すると慰謝料の増額事由となってしまいます。

 
 

減額交渉

 

慰謝料請求された場合には、まず、請求額が慰謝料相場の範囲内かどうかを確認します。

範囲内であれば、次に、減額要素があればこれを主張して交渉していくことになります。相手がこれに応じて、双方が納得し合意に至った場合には、その内容を記載した合意書を作成しましょう。後日の紛争蒸し返しを防ぐことができます。

交渉を重ねたが合意に至らなかった場合には、裁判に発展する可能性が高くなります。裁判に要する時間・費用・さらには社会的代償を考えると、交渉の時点でなんとか折り合いをつけたいものです。

この点、弁護士が介入すれば、法律知識を背景に事実と主張を整理し、裁判を回避するべく交渉にあたることができます。「裁判になってから、弁護士」ではなく、裁判を避ける方策として弁護士の活用をお勧めします。

慰謝料請求のご相談なら

初回相談30分無料