浮気が判明したとき、すべきことは?
【浮気判明!そのとき、あなたは?】
夫・妻の携帯電話をたまたま見たところ、頻繁に特定の異性とLINEのやりとりしている履歴を発見してしまった、服に自分のものとは違う香水の匂いが残っている、外で他の異性と会っているのを見たとの友人からの連絡、こういったことで浮気が露呈します。
では、配偶者の浮気が判明したとき、あなたは何をすべきでしょうか?
二つの選択肢
これについては、選択肢は大きく分けて二つあります。
ひとつは、夫婦関係の修復を図ることです
夫婦仲がとりあえず円満であったならばもちろん、そうでなくても様々な理由から関係を修復したいと考える方は多いのではないでしょうか。特に未成年の子供がいる場合は、できるだけ離婚は避けたいものです。また、婚姻関係を継続しつつ、不倫当事者に慰謝料請求することも可能です。ただし、この場合の慰謝料は離婚する場合と比べて低額になります。
もうひとつは、離婚です。
すでに夫婦仲も冷めており離婚に向けてのきっかけとして、浮気が作用することがよくあります。離婚を前提として、不倫相手への慰謝料請求のみならず、配偶者への高額な財産分与の申し入れを視野に入れて行動することになります。
これら二つの場面における、やるべきことを以下で解説していきます。
夫婦関係の修復を図る場合
冷静を保つ
すぐに配偶者を問い詰めてはいけません。証拠がない状態で責め立てたころで説得力はなく、修復できる夫婦関係も修復できなくなります。また、察知した相手に秘密工作に出られては、以降の慰謝料請求にも支障を来たします。
相手の情報を得る
今後の交際を阻止するにしても、慰謝料請求するにしても、浮気相手の氏名や連絡先が必要です。また、慰謝料請求する場合には、浮気相手の経済状況や社会的地位、年齢等が金額を決定する上で重要になります。焦らず、できるだけ多くの情報を集めましょう。
浮気の証拠を集める
しばらく様子を見ながら、後の配偶者との話し合いの材料として、様々な証拠を集めます。慰謝料請求するのであれば、不貞行為に関する証拠が必要です。そのためには、浮気している配偶者の行動をしっかり観察することです。その際有効なのが、GPS発信機を不倫配偶者の服やカバン、車に忍ばせる方法です。また、費用がかかりますが、探偵に依頼する方法もあります。
話し合う
浮気の状況、相手の素性がある程度わかった段階で、まず、不倫配偶者に証拠があることを伝えて、これ以上浮気相手と会わないように申し入れます。この際、いきなり証拠を見せないことがポイントです。巧妙な言い訳を考えたり、証拠隠滅のおそれがあるからです。証拠の存在を匂わせることで自白する可能性もあります。早い段階で、不倫解消に応じるようであれば、夫婦関係の修復の可能性があります。ただし、お互いしばらくはギクシャクし、真の修復には時間がかかるでしょう。
夫婦だけでの話し合いができない場合は、裁判所での夫婦関係円満調停を利用する方法もあります。
また、浮気相手とは、証拠と事実を確認の上、配偶者と二度と会わないよう誓約させます。この時は、言い逃れができないよう証拠を見せます。慰謝料支払いに関する協議が成立した場合は、誓約書とともに、慰謝料についての示談書を作成します。後日のトラブル回避のため、いずれも書面にすることが望ましいでしょう。
夫婦間、および不倫相手との話し合いは、それぞれが別問題である以上、通常は個別になされますが、三者が同意すれば、三者間で話し合い示談書を交わすこともできます。
離婚に向けての準備をする場合
徹底的な証拠集め
相手に察知されず、事実の確認と証拠集めが必要であるのはここでも同じです。ただし、もはや夫婦関係の修復は目的ではなく、離婚、さらには慰謝料請求や財産分与を有利に運ぶという目的のもと、裁判も辞さないという覚悟が必要となってきます。そのためには徹底的な証拠集めが重要です。
(不貞行為に関する証拠)
民法770条には、離婚原因が列挙されていますが、これらに該当することの立証ができれば、相手の離婚意思に関係なく、離婚が認められます。浮気の場合は、不貞行為、または、婚姻を継続しがたい重大な事実が離婚原因に該当します。
また、慰謝料請求とは、配偶者の不貞行為により受けた精神的損害について金銭賠償を請求することです。
このように、ともに不貞行為に関する証拠が不可欠で、尚且つ、請求する側でこれを集めなければなりません。
GPSを用いた追跡情報、ホテル等への出入りの写真や領収書、性交渉を描写したメールや会話記録等、様々なものがありますが、重要なのは数多く集めることです。なぜなら、各証拠について相手は逐一反証をする必要があり、その際、反証できない、矛盾した主張をする等の事情があれば、裁判を有利に運べるからです。
話し合い
証拠を示し具体的な事実を指摘した上で、離婚を求め、慰謝料請求を主張します。相手がこれに応じ、話し合いがまとまれば、その具体的内容を示談書等の書面にしましょう。できれば、公証役場で公正証書を作成するのが望ましいです。慰謝料が不払いとなった場合には、裁判を経ずにこれをもとに強制執行ができます。
話し合いがまとまらない場合には、調停(配偶者とは離婚調停、不倫相手とは慰謝料調停)、さらには裁判となります。
注意点
浮気相手に慰謝料を請求するにあたっては、相手が、既婚者であることを知っていた、または、知ることができた、そして、これがきっかけで離婚するに至ったことを立証する必要があります。とくに相手が知っていたかどうかという主観的な事情は、不倫開始当時の状況や相手の記憶から推察するという証明方法になり、ハードルは高いです。
最後に
配偶者の浮気が判明。離婚するかしないか、慰謝料請求するか、するなら誰にいくら?…人生の岐路にたち、重い決断をしなければなりません。このような場合にこそ、冷静に状況を整理して、様々な可能性に配慮しつつ、一つ一つの問題に対処していく必要があります。配偶者の浮気でお悩みの方は一度弁護士にご相談ください。