浮気の証拠の取り方
配偶者が浮気。
このとき、他方の配偶者が考えるのは、離婚、慰謝料請求、謝罪、以降の交際阻止、および、これらの組み合わせです。いずれを求めるにしても、確固たる証拠が必要です。
しかも、これらを求める配偶者の側で集めなければなりません。
慰謝料請求を中心に、その後の裁判も見据えた、自分でできる証拠集めの方法を紹介します。
不法行為責任の成立要件
不倫相手に慰謝料請求を行う場合は、不貞行為を内容とする不法行為が成立することが条件です。
不法行為が成立するための要件は、次のとおりです。
- ① 故意又は過失
- ② 加害行為
- ③ 損害の発生
- ④ ②と③の因果関係
このうち、「不倫である、浮気だ」という事項は①②の要件に該当します。そこで①②について、不倫に即して、どのような証拠が必要で、それをどのようにして収集していくべきかを説明していきます。
① 故意又は過失について
不倫における「故意又は過失」とは、不倫の相手方が、不倫配偶者が結婚していることを知っている、又は、注意すれば知ることができたという意味です。
主観を推認させる証拠
「知っている」という主観を立証するための証拠といえば、不倫当事者のメール、録音会話となります。不倫した相手が結婚していることを知っている場合、必ずといっていいほど配偶者の話題を出すからです。
これらの証拠を入手するためには以下の工夫が必要です。
メールについては、不倫配偶者が寝ているときや入浴中に、こっそりと携帯電話の履歴や内容を見て、その画像をすばやく写真を撮ります。この際、不倫配偶者の携帯電話から転送するようなことは避けましょう。証拠を集めていることに気付かれると相手に防御の機会を与えてしまいます。同様に、LINEについては過去の記載にのみ留めて、うっかり既読にならないように気をつけなけましょう。
次に、会話録音については、配偶者のカバン、または、車内にICレコーダーを忍ばせておきましょう。ただし、常に録音状態にしなければならないので、長時間録音できるレコーダーが必要となります。
以上のメールのやりとりや録音会話等で、夫婦関係を知った上での言動の存在があれば、裁判においても証拠として利用できます。このような場合には、もはや、「既婚者とは知らなかった」の言い逃れはできません。
② 加害行為
不倫における加害行為とは、不貞行為をいいます。
不貞行為とは、配偶者としての貞操義務の不履行をいい、わかりやすく言うと、配偶者ある者が配偶者以外の異性と複数回にわたって性交渉をすることです。
これは、慰謝料請求するにあたって、一番重要な事実であり、その内容によっては、不法行為の成否のみならず、慰謝料額の増減に影響が出てきます。さらに、離婚請求事由にもなります。
不貞行為を推認させる証拠
性交渉の現場をそのまま目撃できれば問題ないのですが、そのような事態は多くありません。そこで、以下のような証拠の積み重ねによって、不貞行為の存在を推認させて立証していく(不貞行為があったにちがいないと思わせる)ことになります。
写真、動画
最も有利な証拠となるのが写真や動画です。多くの人が探偵を利用してまでも収集しようとするラブホテルの出入りの現場写真がその代表例です。また、最近では、スマートフォンで不倫当事者のベッドで横たわっている写真を保存しているケースも多く、これも重要な証拠となります。
では、写真や動画以外なら、どのようなものが証拠になるのでしょうか?
パソコン、スマホでの検索履歴
夫婦で行ったことのない旅行先、身に覚えのない商品の購入があれば、不貞行為の疑いがあります。
クレジットカードの明細書
夫婦で行ったことのない旅行先、身に覚えのない商品の購入だけでなく、ETCの利用区間、特に休日出勤中と重なっている日付は、怪しいです。
メール、LINEでのやりとり
不倫の証拠の定番といえるものです。性交渉についての描写であればもちろん、これを前提とした親密な会話や行動の記録(ラブホテルで落ち合う約束等)も不貞行為を推認させます。
GPSアプリでの移動履歴
不倫配偶者のスマホに密かにGPSアプリをダウンロードして、移動の履歴を見ることができます。これにより、配偶者の不審な移動を把握でき、記録に残すことで不貞行為の存在を推認できます。
ICレコーダーでの会話録音
不倫当事者の会話が「故意過失」を推認させる証拠として重要であるのは先にも述べました。それ以外でも、夫婦間の会話において不倫を認める内容の自白があった場合には、やはり重要な証拠となります。忘れずに録音しましょう。
ドライブレコーダーでの画像履歴
仕事で利用する経路でなく、様々な観光地が画像に残っている場合は、不倫相手とのデートをしていることを立証できます。
それ以外の証拠
以上の証拠は最近の電子機器等を用いて集めるものですが、このような環境になくても、不倫配偶者の不審な行動を記録した備忘メモや日記でも、裁判上の証拠になります。
また、不倫相手から自白を得ることができれば、やはり重要な証拠となります。配偶者が発覚を察知して証拠を集めることが困難になった場合でも、諦めずに不倫相手と面会するという方法があります。その際には録音を忘れてはいけません。
最後に
証拠については、多ければ多いほどいいです。なぜなら、各証拠について相手は反証をする必要があり、その際、反証できなかったり矛盾する主張も出てきます。これより裁判を有利に運べるからです。
ここで、注意点を2つ。
焦って証拠を集め、結果、不倫配偶者にバレて秘密工作に出られては意味がなくなりますので、できるだけ長期間にわたって慎重に収集する必要があります。また、証拠収集のやり方によっては、相手のプライバシー侵害となるおそれがあります。配偶者であっても勝手にID、パスワードを盗んでアクセスすると、不正アクセス禁止法違反となり、逆に損害賠償請求されるケースもあります。
これらの事情も含めて、証拠収集のできるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。