ワンナイトは浮気になる?ワンナイトで浮気の慰謝料は請求できるのか?

ワンナイトは浮気になる?ワンナイトで浮気の慰謝料は請求できるのか?

配偶者が浮気をしていたことが発覚したものの、「ワンナイトだ」「一度だけお酒の勢いで」など一夜限りの浮気だったと主張するようなケースもあるでしょう。
 
配偶者が浮気をした場合、本来であれば配偶者と浮気相手に慰謝料を請求することができます。
しかし、ワンナイトは浮気として慰謝料を請求する対象になるのでしょうか?
本当に一夜限りの浮気のケースもあれば、離婚や慰謝料請求を避けるために配偶者が嘘をついているかもしれません。
今回は、ワンナイトの場合の浮気の慰謝料請求について解説します。
 

ワンナイトも浮気になる?慰謝料は請求できるのか?

 
ワンナイトとは、「一夜限り」という意味です。
配偶者の浮気が発覚して問い詰めた際に、「ワンナイトだった」と一度だけの関係であることを主張するようなケースもあるでしょう。
ワンナイトの浮気の場合、慰謝料を請求することはできるのでしょうか?
 

1.浮気の基準について

 
浮気の慰謝料請求をするためには、まず浮気の基準から知っておく必要があります。
夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の人と性交渉することは禁じられています。
そのため、法律上で浮気は「配偶者以外の人と性交渉をすること」だと考えられています。
食事などのデートをしただけの場合や、キスや手を繋ぐといった性交渉以外のスキンシップのみの場合、法律上で浮気とは認めらません。
 

2.ワンナイトでも慰謝料は請求できる

 
配偶者があなた以外の人と性交渉をしたのであれば、「不貞行為」として慰謝料を請求することができます。
そして、一度でも複数回でも回数は関係なく、配偶者以外の人と性交渉をしたのであれば不貞行為になります。
つまり、ワンナイトでも慰謝料請求することは可能だといえます。
 
また、不貞行為は配偶者と浮気相手の二人が共同して行う「共同不法行為」です。
共同不法行為とは複数の人が関与して不法に他人の権利や利益を侵害する行為のことを指し、加害者は被害者に対して損害を賠償する責任を連帯して負うことになることが法律で定められています。(民法第719条)
そのため、浮気をした配偶者だけではなく浮気相手にも慰謝料を請求することができます。
 

ワンナイトの浮気でも慰謝料が請求できないケースとは

 
ワンナイトでも浮気の慰謝料を請求することはできますが、場合によっては請求できないようなケースもあります。
配偶者と浮気相手のそれぞれに対して慰謝料請求できないケースをご紹介します。
 

1.配偶者へ慰謝料請求できないケース

 
本来であれば、ワンナイトでも不貞行為として配偶者に対して慰謝料を請求することができます。
しかし、次のようなケースでは慰謝料請求することが難しいと考えられます。
 

①浮気の証拠がない

 
浮気の慰謝料を請求する場合、浮気があったことが客観的に分かるような証拠が必要になります。
証拠がないまま慰謝料を請求すれば、相手は浮気を否定して慰謝料の支払いを拒否する可能性があります。
もし裁判で慰謝料を請求しても、証拠がなければ慰謝料請求は認められません。
配偶者が浮気を自白したのであれば自白が証拠になりますが、録音や書面に残しておかなければ証拠としての信ぴょう性が低くなります。
自白は録音や書面など証拠として残し、自白以外の証拠も集めておくようにしましょう。
 

②夫婦関係が破綻していた

 
配偶者が浮気をする前から夫婦関係が破綻していた場合には慰謝料を請求することはできませ。
なぜならば、法律で守られるべき婚姻生活の平和を維持するための権利や利益は消滅していると考えられてしまうからです。
別居を長期間している場合や、離婚協議や調停を行っている最中だった場合は夫婦関係が破綻していたと判断されるでしょう。
ただし、夫婦のどちらかが一方的に離婚したいと主張しており、一方が離婚を拒否していたようなケースでは夫婦関係が破綻しているとは言えません。
 

2.浮気相手へ慰謝料請求できないケース

 
浮気の慰謝料は浮気相手にも請求することができます。
しかし、慰謝料請求できない要件である「証拠がない」「夫婦関係が破綻していた」ことに加えて次のようなケースでは浮気相手に慰謝料を請求することが難しいと考えられます。
 

①相手の情報が分からない

 
慰謝料を請求するには、請求する相手の情報が必要です。
浮気相手が誰だか分からないというような状況では慰謝料が請求できないため、相手が誰か突き止めることから始める必要があります。
しかし、ワンナイトの浮気であれば相手を突き止めることが難しいようなケースも多いでしょう。
浮気相手の勤務先や特徴などが分かっていれば、探偵に調査してもらえる可能性があります。
 

②相手に故意や過失がない

 
慰謝料が請求できるのは不法行為が成立した場合であり、相手に故意や過失がなければ不法行為は成立しないため慰謝料が請求できません。
浮気の場合、相手が既婚者と知らずに性交渉したのであれば故意や過失はないと考えられます。
とくにワンナイトであれば既婚者とは知り得ないようなケースもあり、浮気相手には慰謝料請求できない可能性があります。
 

ワンナイトの浮気の慰謝料はどれくらい請求できる?

 
浮気の慰謝料を請求する場合、請求する前にどれくらいの相場金額なのか知っておきたいものです。
ワンナイトの場合の浮気の慰謝料相場はどれくらいなのでしょうか?
 

1.一般的な浮気の慰謝料相場

 
浮気の慰謝料の金額は法律で決められているわけではありませんが、一般的な浮気の慰謝料の相場は50~300万円といわれています。
相場金額に大きく幅がある理由は、夫婦関係の状態や浮気の悪質性など全体を考慮して金額が決められるからです。
精神的苦痛が大きいと判断されるほど慰謝料の金額は増額されます。
そのため、婚姻期間の長さや子どもの有無、浮気による離婚の有無、浮気の回数などが慰謝料の金額を左右する要因になります。
 

2.ワンナイトの浮気の慰謝料相場

 
浮気の慰謝料の金額を決める際には、浮気の悪質性も判断材料になります。
浮気期間や回数が多いほど浮気の悪質性は高いと判断され、慰謝料の金額は高額になる傾向にあります。
しかし、ワンナイトであれば一度限りの浮気になります。
そのため、精神的に受ける苦痛は少ないと判断されて慰謝料の金額は少なくなると考えられます。
婚姻期間や離婚の有無なども慰謝料に影響しますが、ワンナイトの浮気の場合は数十万円の慰謝料と相場よりも低くなる可能性があります。
 

ワンナイトの浮気の慰謝料を請求する場合の注意点

 
ワンナイトの浮気の慰謝料を請求する場合には、いくつか注意すべき点があります。
慰謝料を請求してから後悔しないようにするためにも、次の注意点についてあらかじめ知っておきましょう。
 

1.ワンナイトは嘘の可能性がある

 
配偶者が「ワンナイトだった」「一回だけの関係だった」と主張していても、実際は複数回もしくは長期間に及ぶ浮気の可能性があります。
ワンナイトだということを主張すれば浮気を許してもらえ、離婚や慰謝料請求を避けられると考えているかもしれません。
また、慰謝料請求されてもワンナイトならば少ない金額で済ませられると考えているケースもあるでしょう。
浮気の期間が分かるような証拠を探し、ワンナイトが本当なのかどうか検討してみることをおすすめします。
もし浮気がワンナイトではなかった場合、請求できる慰謝料の金額の増額に繋がります。
 

2.浮気の証拠が集めにくい

 
浮気の慰謝料を請求するのであれば、浮気を立証できるような証拠を集めなければなりません。
現在進行形の不倫関係や、複数回に渡る浮気だった場合、さまざまな証拠が残っていると考えられます。
しかし、浮気が本当にワンナイトだった場合、証拠があまり残っていないことも多いでしょう。
浮気の証拠が集められないからといって慰謝料の支払いを強要や脅迫するようなことをしてはいけません。
浮気の証拠が集められなくても自白があれば証拠になりますし、場合によっては探偵に依頼することで証拠を掴める可能性もあります。
 

3.浮気相手を特定できない可能性がある

 
ワンナイトの浮気の場合、浮気相手に慰謝料を請求したくても相手を特定できない可能性があります。
ワンナイトではなく現在進行形の浮気の場合であれば、探偵に依頼すれば配偶者を尾行して浮気相手を特定できるでしょう。
しかし、一夜限りの相手であれば探偵に依頼しても相手を特定できるとは限りません。
浮気相手の電話番号が分かっている場合は、弁護士に依頼することで電話番号から電話の契約者の情報を調べることが可能です。
 

浮気の慰謝料を増額するためにすべきこと

 
浮気の慰謝料を請求するのであれば、少しでも高額な慰謝料を請求したいと考えるものです。
そこで、浮気の慰謝料を増額するためにできることをご紹介します。
 

1.証拠を集めるまでは浮気に気付かないふりをする

 
配偶者の浮気が発覚すれば、怒りや悲しみから配偶者を問い詰めたいという気持ちに駆られるでしょう。
しかし、浮気を問い詰められれば、相手は浮気を否定して証拠を隠してしまうかもしれません。
そうすると、証拠がなくて慰謝料を請求できないというケースに陥ってしまうおそれがあります。
浮気の証拠を集めるまでは、浮気に気付かないふりをしておきましょう。
証拠を集めてから浮気を問い詰めれば相手の嘘を見破ることができ、本当にワンナイトの浮気なのかどうかも判断することができます。
 

2.浮気の期間や回数を証明するための証拠を集める

 
浮気の期間や回数が多いほど慰謝料の金額は増額される傾向にあります。
配偶者がワンナイトの浮気であることを主張していたとしても、実際はワンナイトではないケースも少なくありません。
そのため、浮気の証拠を集める際には、肉体関係があることを証明できる証拠だけではなく、浮気の回数や期間が分かるような証拠も集めておきましょう。
浮気の回数や期間が分かるような証拠には、ホテルを利用したレシートや浮気相手とのメッセージのやり取りなどが挙げられます。
浮気期間を証明できればワンナイトの浮気だという主張が嘘であることを裏付けることができ、慰謝料も増額されることが期待できます。
 

ワンナイトの浮気で離婚をすることはできるのか?

 
ワンナイトの浮気を許すことができず、慰謝料請求だけではなく離婚したというようなケースもあるでしょう。
ワンナイトの浮気を理由に離婚することはできるのでしょうか?
 

1.協議ならば離婚できる

 
離婚をする方法には、「協議」「調停」「裁判」の3種類があります。
協議離婚とは夫婦の話し合いで行われる離婚方法で、一般的には協議離婚から始めることが多いです。
協議離婚では、離婚原因に関係なく双方が合意すれば離婚を成立させることができます。
そのため、協議ならばワンナイトの浮気でも相手が合意すれば離婚できると言えます。
 
一方で、調停の場合は裁判所を通して行う離婚方法になり、調停委員会が介入して話し合いを行います。
最終的には調停委員会が双方の主張をまとめて問題解決を目指しますが、双方が合意に至らなければ離婚は成立しません。
調停の場合は双方の主張から問題解決を目指すため、必ずワンナイトの浮気を理由に離婚できるというわけではないと言えます。
 

2.裁判では離婚が認められない可能性もある

 
裁判で離婚するには、法律で定められた離婚理由である「法定離婚事由」が必要です。
浮気は「不貞行為」として法定離婚事由の一つに定められているため、不貞行為を証明できれば裁判で離婚することができます。
しかし、ワンナイトの浮気の場合、夫婦関係が修復できるのではないかと判断されて離婚が認められない可能性があります。
そのため、ワンナイトの浮気で離婚したい場合は、できる限り協議で離婚を成立させることをおすすめします。
 

まとめ

 
今回は、ワンナイトの浮気の慰謝料請求について解説しました。
ワンナイトの浮気でも「不貞行為」を立証できる証拠があれば、慰謝料を請求することができます。
ただし、ワンナイトの浮気は証拠集めが難しいことや、浮気相手の特定が難航するようなケースも少なくありません。
 
ワンナイトの浮気で慰謝料請求をしたいと考えている場合には、まず弁護士に相談してみましょう。
証拠集めや慰謝料の金額、慰謝料請求に関するアドバイスを得ることができますし、話を聞いてもらうことで精神的にもストレスが軽減されるはずです。
慰謝料請求だけではなく離婚に関するアドバイスも受けられるので、まずは相談することから始めてみてください。

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