配偶者が社内不倫していた!社内不倫の慰謝料請求におけるポイントや注意点を解説
不倫不倫のきっかけはさまざまですが、「社内」は非常に多いものです。
配偶者が社内不倫をしていたことが発覚すれば、慰謝料を請求することができます。
しかし、社内不倫は配偶者の勤務先の相手ということもあり、さまざまなトラブルに発展する恐れもあるでしょう。
そのため、慎重に対処する必要があります。
今回は、配偶者が社内不倫をしていた場合の慰謝料請求について解説します。
慰謝料請求の際に注意すべきポイントなどを紹介しているので、参考にしてください。
配偶者が社内不倫している?!不倫の定義について
会社の同僚や部下など社内の人と不倫していることを「社内不倫」と呼びます。
社内不倫という言葉は耳にすることも多く、社内不倫をする人は珍しくありません。
なぜ社内不倫は多いのでしょうか?
社内不倫が多い原因や、不倫の定義についてみていきましょう。
1.社内不倫が多い理由
不倫のきかっけの中でも「職場」はもっとも多いと言われています。
社内不倫が多い理由の1つとして、男女関係に発展するきっかけが多いことが挙げられます。
1日の中でも職場にいる時間は長く、残業や出張、飲み会など恋愛に発展するきっかけが非常に多いです。
しかも、お互いに職場という慣れた環境で安心感があることや、仲間意識があるという点も距離が縮まりやすい要因だと言えます。
また、社内不倫であれば時間の都合をつけやすく、家族に内緒で会いやすいという理由もあります。
もし配偶者に帰宅が遅い理由を聞かれても、「仕事」や「職場の人と飲んでいた」という言い訳がしやすくなります。
2.不倫の定義とは
どこからが不倫になるのかという定義には、個人差があります。
キスなどのスキンシップから不倫と考える方もいれば、下心を持って連絡を取り合っていた場合だと考える方もいるでしょう。
法律における不倫は「不貞」と呼ばれ、「配偶者以外の人と性的関係を持つこと」だと考えられています。
なぜならば、夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の人と肉体関係を持つことが禁じられているからです。
そのため、ご自身が不倫だと考えたとしても、法的な不倫の定義に該当しなければ慰謝料などの請求を行うことはできません。
配偶者が社内不倫をしていた場合にできること
配偶者が社内を不倫したいたという場合には、どんな対処をすることができるのでしょうか?
配偶者や不倫相手に対してできる対処は次のとおりです。
1.不倫相手に対する慰謝料請求
不法行為は他人の権利を不法に侵害する行為であり、加害者は被害者に対して損害を賠償する責任を負うことが民法第710条に定められています。
そして、不倫は共同不法行為に該当し、不倫相手と配偶者が共同で責任を負うことになります。
そのため、不倫をした配偶者だけではなく不倫相手にも不倫慰謝料を請求することができます。
社内不倫が発覚したものの配偶者と離婚しないという場合であれば、不倫相手に対して慰謝料を請求するというケースが多いです。
ただし、不法行為が成立するのは故意や過失があった場合になるため、配偶者が「独身だ」「もうすぐ離婚する」などと嘘をついて不倫相手を騙して肉体関係を持っていた場合には、不倫相手に故意や過失はないため慰謝料を請求することはできません。
2.配偶者に対する慰謝料請求
不倫が事実であれば、不倫をした配偶者はもう一方の配偶者が受けた精神的苦痛に対して損害を賠償する責任が生じます。
そのため、離婚の有無を関係なく配偶者に対して慰謝料を請求することができます。
しかし、離婚しないのであれば慰謝料を請求しても、同じ家計から支払われることになるため金銭的なメリットはありません。
こうした背景から、離婚をする場合にのみ配偶者に対して不倫の慰謝料を請求することが多いと言えます。
3.配偶者に対する離婚請求
離婚をする方法は大きく分けると、当事者同士の話し合いで行う「協議離婚」と、裁判を通して離婚を決める「裁判離婚」があります。
協議離婚ならば、離婚の理由は関係なく双方が合意すれば離婚を成立させられます。
しかし、一方が離婚を拒否している場合には裁判で離婚を争うことになり、裁判所で離婚を認められるには「法定離婚事由」が必要になります。
法定離婚事由とは法律で定められている離婚の理由で、民法第770条に定められています。
不倫は法定離婚事由に該当するため、相手が離婚を拒否していたとしても裁判で離婚することが可能です。
社内不倫で慰謝料請求以外に起こりやすい問題点
社内不倫は一般的な不倫よりも、トラブルが複雑化しやすいケースが多いです。
社内不倫では慰謝料請求以外にどんなトラブルが起こり得るのでしょうか?
1.当事者同士が今後も仕事で顔を合わせる
社内不倫は同じ職場内で行われる不倫です。
そのため、不倫が発覚した際にも、不倫相手に慰謝料請求をした時にも、どちらかが仕事を辞めない限りは当事者同士が今後も顔を合わせることになります。
慰謝料請求で示談に至った後も、どちらかが異動や退職しない限りは顔を合わせるでしょう。
そのため、当事者同士が気まずくなる可能性があると言えます。
2.不倫関係が内緒で継続される恐れがある
前述したように、社内不倫の場合は慰謝料請求で示談になったとしても当事者同士が顔を合わせることになります。
そのため、示談では不倫関係を清算することを約束したとしても、内緒で関係が継続される恐れがあります。
また、示談をした際には不倫関係が清算されたとしても、時間が経過してから再び関係が復活するようなケースもあるでしょう。
そのため、不倫関係が清算・復活しないように、示談の際には違約金について取り決めをしっかりと決めておくべきです。
3.不倫相手に慰謝料請求することで配偶者の仕事に影響が出る恐れがある
離婚をしない場合には、不倫相手にだけ慰謝料を請求することになります。
しかし、離婚をしないことや、慰謝料を不倫相手にだけ請求することに対して、不倫相手は逆恨みをする恐れがあります。
すると、会社で不倫の事実や配偶者のイメージダウンに繋がるようなことを言いふらす可能性があります。
そうすれば、配偶者は会社での地位や信頼を失うことになります。
もちろんこうした行為は名誉棄損やプライバシー侵害に該当するため、相手を訴えることはできますが、一度失われた会社での信頼などは取り返すことが難しいでしょう。
そのため、社内不倫で不倫相手に慰謝料を請求する際には、トラブルが大きくならないように注しながら進めるべきです。
社内不倫では慰謝料請求時の協議が重要!
不倫慰謝料の請求は、当事者同士の協議もしくは裁判で請求することになります。
協議でなかなか合意に至らない場合に裁判へ発展しますが、裁判になれば解決までに時間がかかるため協議で解決を図るようにすることが多いです。
とくに社内不倫では協議の際に慰謝料金額でもしっかりと示談の条件を決めておくことが大切です。
1.慰謝料請求ではお金以外にも条件を請求できる
慰謝料請求では、相手にお金を請求するだけではなく示談の条件を提示することができます。
不倫慰謝料を請求する目的はお金だけではなく、「不倫関係の清算」を約束してもらうために慰謝料を請求することも多いです。
とくに社内不倫では、今後も当事者同士が顔を合わせる可能性があるため、関係をしっかりと清算してもらうことや不倫の再発を防ぐ必要があります。
そのために慰謝料請求では示談書や誓約書を作成し、相手にお金以外の条件を要求することができます。
2.示談の際に相手に約束してもらうべきこと
慰謝料請求で示談をする際には示談書を作成しますが、その示談書の内容には相手に約束してもらいたいことを記載します。
社内不倫に限った話ではありませんが、配偶者と離婚しないのであれば次の内容を示談書に記して相手に約束してもらうようにしましょう。
①不倫関係を清算する
不倫をした配偶者と離婚せずに夫婦関係を修復するのであれば、不倫相手には不倫関係を終わらせてもらわなければなりません。
示談の際には、必ず不倫関係を清算することを約束してもらいましょう。
そして、実際に示談書にも不倫関係を清算する旨を記しておくことで約束を証拠として残しておきます。
②私用での接触を禁止する
示談書には不倫関係の清算以外に、接触禁止条項が記されることも多いです。
接触近似条項とは、不倫をした当事者同士の私用での接触を禁止するという条項です。
とくに社内不倫では関係を清算した後でも顔を合わせる機会があるため、再び関係が復活してしまうようなことが予想されます。
そのため、私用で話すことや連絡を取ることなどを禁止することで関係の復活を防ぐという目的があります。
③違約条項と違約金を定める
示談書には不倫関係の清算や接触禁止に関する条項を記すだけではなく、違約条項についても記しておくことをおすすめします。
違約条項とは、示談内容の約束を守られなかった場合のペナルティに関する条項です。
多くの場合は、違約金を設定して記します。
違約条項を定めておくことで、不倫関係の清算や接触禁止の約束はより守られる可能性が高まるでしょう。
社内不倫を清算するために相手に異動や退職はしてもらえないのか?
示談の際に不倫の清算を約束してもらったとしても、社内不倫の場合は職場で顔を合わせることがあるため配偶者としては不安が残るでしょう。
そのため、不倫相手に異動や退職をしてもらえないのかと考える方もいると思います。
不倫相手に異動や退職をしてもらうことは可能なのでしょうか?
1.異動や退職は強要できない
不倫相手が不倫関係の清算後、自分の意思で異動願いや退職をするのであれば問題ありません。
しかし、異動や退職するように強要することはできません。
もし異動や退職するように強要すれば、脅迫罪などに問われてしまう恐れがあります。
どうしても異動や退職をしてもらいたいという場合には、トラブルにならないように慎重に相手へお願いしましょう。
2.場合によっては懲戒処分になることもある
会社に不倫がバレてしまったとしても、原則的には不倫を理由に懲戒解雇や懲戒処分になることはありません。
懲戒解雇や懲戒処分になるには、社内の秩序を乱すような行為をした場合や、会社へ不利益をもたらすようなことを行った場合です。
もし社内不倫によって、不倫していた相手を仕事でひいきするようなことがあり、周囲に悪影響をもたらしていたというような場合であれば懲戒処分になるようなことはあるでしょう。
会社に不倫相手に何らかの処分をしてもらいたいと考えるかもしれませんが、懲戒処分になるかどうかはケースバイケースです。
会社に不倫を報告することは配偶者にとっても不利益を被る可能性があるので、慎重になるべきだと言えます。
社内不倫で慰謝料を請求する際に注意すべきこと
社内不倫で慰謝料を請求する場合には、トラブルが大きく発展しないようにするためにも慎重に慰謝料請求を進める必要があります。
社内不倫で慰謝料請求を行う際には、次のことに注意しましょう。
1.請求前に不倫の証拠を集めておく
社内不倫に関係なく、不倫慰謝料請求では証拠が必要になります。
不倫の証拠がなければ相手は不倫関係を否定する可能性があり、慰謝料の支払い義務はないと主張するかもしれません。
証拠集めを行う際には、相手にバレないように証拠を集めましょう。
証拠を集めていることがバレてしまうと、証拠を消去されて当事者の二人が口裏合わせをする可能性があります。
2.相手の情報を集めておく
不倫相手に慰謝料を請求するのであれば、相手の情報も必要です。
慰謝料請求は電話やメールなどでも行えますが、一般的には内容証明郵便という郵便で相手に請求を送付します。
内容証明郵便で送付するには相手の名前と住所が必要になりますが、住所が分からない場合には勤務先に送付することも可能です。
しかし、勤務先に送付すれば、不倫が周囲にバレてしまうことでトラブルが大きくなってしまう恐れがあるため、社内不倫では相手の住まいに送付する方が得策だと言えます。
3.会社にばらす・押しかけるようなことはしない
不倫相手に社会的制裁を与えたいと考えて会社に不倫をばらすようなことや、腹が立って会社へ押しかけるようとする方もいるでしょう。
しかし、こうした行為はトラブルが大きくなってしまいます。
不倫を第三者にバラすことは、名誉棄損やプライバシーの損害として相手から反対に慰謝料を請求される恐れがあります。
また、業務中に会社へ押しかけて相手を怒鳴るなどしてトラブルになって警察へ通報されれば、業務妨害罪の罪に問われるようなケースもあります。
不倫に対して怒りや悲しみがあったとしても、冷静に対応することが大切です。
まとめ
今回は、社内不倫における不倫慰謝料請求のポイントや注意点について解説しました。
不倫のきっかけとして職場は最も多いものであり、配偶者が社内不倫をしていることに悩んでいるという方も多いでしょう。
社内不倫があった場合には慰謝料を請求することができますが、トラブルが大きくならないように慎重に慰謝料請求を進める必要があります。
示談の際にも示談書でさまざまな条項を記す必要があるため、社内不倫の慰謝料請求は弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、相手との交渉や示談書の作成など全てを任せることができます。
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