慰謝料が期日に振り込まれない場合の対処法や事前にできる予防法を解説

慰謝料が期日に振り込まれない場合の対処法や事前にできる予防法を解説

不貞行など何らかの不法行為に対して慰謝料を請求し、示談したものの慰謝料が期日に振り込まれないようなトラブルに悩まされていませんか?
督促しても相手が応じないような場合や、無視をつづけるような場合もあるでしょう。
慰謝料が期日に振り込まれない場合には、どのように対処すべきなのでしょうか。

 

今回は、慰謝料が期日に振り込まれない場合の対処法について解説します。
また、慰謝料が支払われないというトラブルを避けるための事前にできる予防法もご紹介するので、これから示談をする方も是非参考にしてください。

 

慰謝料が振り込まれない場合はどうすればいいの?

 

慰謝料請求で示談をする際には、慰謝料の金額や支払い方法と併せて慰謝料の支払い期日を決めることが一般的です。
そして、双方が合意して署名をすれば示談が成立し、相手が期日までに慰謝料を指定口座に振り込んでくれることを待つだけになります。

 

しかし、支払い期日を過ぎても慰謝料が振り込まれないようなケースもあるでしょう。
この場合、次の方法で対処しましょう。

 

1.支払い期日や振込先を確認する

 

まずは、示談をした時に作成した示談書(誓約書や合意書)の内容を再確認しましょう。
支払期日や振込先に誤りがないか確認してください。
支払期日が休日や祝日を挟むような場合、直前に振り込まれたものはすぐに振り込みが確認できないようなケースもあります。
相手と連絡を取れるような場合には、振り込みはしたのか直接聞いてみてもいいでしょう。

 

2.督促する

 

支払い期日を過ぎても慰謝料が支払われない場合には、「督促」を行います。
督促とは、滞っている債務を支払うように促すことです。

 

慰謝料の支払い期日が過ぎて督促を行う場合、一般的には「内容証明郵便」で督促状を相手に送付します。
内容証明郵便とは、送達した書面の内容や郵便を配達日、受け取りに関して証明することができる郵便方法です。
そのため、督促をした事実を内容証明郵便で立証することができます。
内容証明郵便は書式などが決まっているため、郵便局のホームページや窓口で確認してから書面の用意を行いましょう。

 

振り込まれない慰謝料を督促する際のポイント

 

支払期日を過ぎても慰謝料が支払われない場合には慰謝料を督促しますが、その際にはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
督促状を作成する前に、次の事を確認してください。

 

1.遅延損害金について確認する

 

示談をした際の示談書において、遅延損害金について記載しているかどうか確認しましょう。
遅延損害金とは、支払い期日を過ぎた場合に発生する損害賠償金です。

 

慰謝料の支払い期日が1日でも過ぎれば発生するため、慰謝料と併せて遅延損害金を請求することができます。
遅延損害金の金額は利率で計算するため、示談書に利率が記載されていれば、その利率で算出して相手に請求をします。
利率を決めていない場合や、示談書に遅延損害金について記載していない場合には、法定利率の年3%で請求することが可能です。

 

2.残りの慰謝料は一括請求する

 

慰謝料は原則的に一括払いで行われるものです。
しかし、示談の際に相手の事情などを考慮して分割払いで合意しているようなケースもあるでしょう。

 

こうしたケースで支払期日を過ぎても慰謝料が振り込まれない場合には、残りの慰謝料を一括請求することができます。
このことを、「期限の利益損失」と言います。
慰謝料の分割払いの合意書に記載されるもので、分割払い怠った場合には残りを一括払いしなければならないという条項です。

 

分割に合意したものの約束が守られなかったのですから、確実に慰謝料を回収するために残りの慰謝料を確実に回収するための条項と言えます。

 

3.違法な督促行為は行わないように注意する

 

支払期日を過ぎても慰謝料が支払われなければ、怒りや苛立ちで感情的になってしまう方も多いと思います。
しかし、感情的になってしまって違法な督促行為を行えば、反対に相手から訴えられてしまったり刑事事件に発展したりする恐れがあります。

 

督促状に脅迫するような内容を記載したり、執拗に家に押しかけて迷惑行為をしたりするようなことは避けましょう。
あくまれも冷静に対処することが大切です。

 

慰謝料の支払い期日を決めていなかった場合にはどうすればいいのか?

 

原則的に示談では慰謝料の支払い期日を設けておき、示談書に記載します。
しかし、当事者同士の話し合いで示談した場合には、「お金の準備が出来次第支払うから待っていて欲しい」などと言われて期日を決めなかったというようなケースもあるでしょう。

 

本来であればこうした場合でも期日は念のために設けておくものですが、例えば請求相手が元配偶者などよく知る相手ならば信頼して期日を決めないこともあるかもしれません。
こうした場合は、まず相手にいつになれば支払えるのか確認を取り、改めて支払い期日を決めましょう。
本来であれば支払い期日を設けるべきものなので、口約束などで書面を作成していない場合には書面を作成すべきです。

 

慰謝料を督促しても振り込まれない場合の対処法

 

督促状自体には法的な拘束力はなく、任意で相手に支払いを求めるものです。
そのため、督促状を相手が無視した場合には、裁判など法的な措置を行うことになります。
ご自身で慰謝料を督促したものの相手が支払ってくれないという場合には、次の順で対処していきます。

 

1.弁護士名義で督促を行う

 

弁護士に依頼をすれば、弁護士が代理人になって督促を行います。
ご自身で対処する前の段階から弁護士に依頼しても良いでしょう。

 

弁護士名義で督促状が相手に届くため、相手に心理的なプレッシャーを与えることができます。
このまま放置すれば法的措置に移ることが予想されるため、相手も何らかの対応をする可能性が高まります。
もし弁護士名義の督促にも無視するような場合には、裁判所への申立てなど次の段階に進むことになりますが、こうした裁判所への手続きなども弁護士に全てを任せられるというメリットがあります。

 

2.裁判所に慰謝料請求調停や訴訟を申立てる

 

示談書を強制執行認諾付き公正証書で作成していない場合には、裁判所へ慰謝料請求の調停や訴訟を申立てることになります。
調停と訴訟で行われることをそれぞれご紹介します。

 

①慰謝料請求調停

 

調停とは、調停委員会が介入してトラブルを解決へと導く裁判手続きです。
相手の居住地の家庭裁判所に申立てをします。

 

調停では調停委員会が双方の事情や意見を聴き、話し合いをまとめていきます。
双方が話し合いの結果、合意が成立すれば調停証書を作成され、調停証書が債務名義になります。
そのため、相手が慰謝料を支払わなければ強制執行することができるようになります。
しかし、話し合いがまとまらなければ調停は不成立で終了になり、訴訟へ移行します。

 

②訴訟

 

督促しても支払いに応じない場合や、調停が不成立になった場合には、慰謝料請求の訴訟を行います。
訴訟の場合は地方裁判所へ申立てを行い、判決で慰謝料の支払いを命じる判決が出れば慰謝料を支払ってもらうことができます。

 

裁判の確定判決は債務名義になるため、相手が慰謝料を支払わない場合には強制執行することが可能です。
裁判では確定判決の前に和解になるようなケースも多いですが、和解した場合の和解調書も債務名義になります。
そのため、いずれにしても相手が支払いを行わなければ強制執行を行うことができます。

 

3.財産の差押えを申立てる

 

相手が慰謝料を支払わない場合には、最終的に強制執行による財産の差押えを行うという手段をとることになります。
相手の財産(自宅や車、預貯金、給料など)を差押え、換価して慰謝料を回収する方法です。
強制執行認諾付き公正証書で示談をしている場合には、調停や訴訟を行わずに簡易裁判所へ支払い督促の申立てをすることで強制執行を行うことができます。
調停が成立した場合には家庭裁判所へ履行命令の申立てを行い、裁判所で和解や判決が出ている場合には地方裁判所へ強制執行の申立てを行います。

 

相手が財産隠しや財産を処分する恐れがある場合には、仮差押えの手続きも行うようにしましょう。
強制執行されることを相手が知れば、差し押さえの前に財産を処分してしまう恐れがあります。
そうなれば、調停や裁判をしても何も回収できなくなってしまうかもしれません。
仮差押えを行えば、調停や裁判で債務名義を取得する前に相手の財産を仮に差し押さえることが可能です。
状況によっては確実に慰謝料を回収するために仮差押えも行っておくべきだといえます。

 

慰謝料の支払いに関するトラブルが起こらないようにするための予防策

 

慰謝料の支払いでトラブルが起こらないようにするためには、示談の際に予防できる策を講じておく必要があります。
トラブルを未然に防ぐことや、後にトラブルになった際もスムーズに解決することができます。
これから慰謝料請求をする場合や、示談交渉をする場合には、次のことを予防策として取り入れてください。

 

1.相手の支払える慰謝料金額を請求する

 

慰謝料の金額は法律で詳細に決められているものではないため、慰謝料請求の際には自分の希望額を相手に請求することができます。
ただし、調停や裁判では高額すぎる慰謝料は認められません。
ご自身のトラブルのケースに近い過去の判例などを参考に慰謝料が決められます。

 

当事者同士で示談する場合にも、高額すぎる慰謝料は相手が支払うことができない可能性があるため、相場額を知った上で相手の支払える範囲の慰謝料を請求するようにしましょう。
慰謝料の相場額に関してはケースバイケースになるため、無料相談などを利用して弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

2.示談の際に遅延損害金などペナルティについて決めておく

 

示談の際には慰謝料を請求することや、慰謝料の金額を決めることで頭がいっぱいになってしまうものです。
しかし、示談の際には慰謝料の金額がある程度決まってきたら、遅延損害金や期限の利益損失など支払いが遅れた場合のペナルティについてもしっかりと決めて示談書へ記載しておくようにしましょう。
そうすれば、相手が慰謝料を支払わないことへの予防に繋がります。

 

3.公正証書で示談書を作成する

 

示談書は公正証書で作成することをおすすめします。
公正証書とは公証役場で公証人に作成してもらう文章で、当事者間で合意した内容を記載してもらえます。

 

公正証書に「慰謝料の支払いが滞った場合には強制執行を受けても構わない」といったような慰謝料請求権に関する文言を入れれば、この公正証書は債務名義になります。
そうすれば、相手が慰謝料を支払わない場合にはすぐに強制執行を申立てることができます。

 

4.裁判で慰謝料を請求する

 

協議で合意に至らないものの確実に慰謝料を支払ってもらいたいと考える場合には、裁判で慰謝料請求を行うべきでしょう。
裁判ならば相手の合意を得る必要はなく、判決で慰謝料の支払いを命じられれば相手は応じなければなりません。
もし確定判決を無視するようなことがあれば、強制執行により財産の差押えが行われます。
なかなか相手が慰謝料の支払いに合意しないという場合には、裁判で請求することも検討してみてください。

 

慰謝料問題は弁護士に相談しましょう

 

慰謝料に関する問題はさまざまなトラブルに発展する可能性があるので、請求の時点から弁護士に相談することをおすすめします。
そうすれば、相手との慰謝料の交渉や示談手続きなども全て任せることができ、相手が慰謝料を支払わない場合も対処してもらえます。

 

慰謝料問題では解決まで精神的負担も大きいものです。
弁護士のサポートが入れば知識面だけではなく、面倒な手続きやストレスになるような交渉なども任せられるので精神的な負担が大幅に軽減されます。
初回は無料相談を行う弁護士事務所も多いので、まずは相談から始めてみてください。

 

まとめ

 

今回は、慰謝料が支払われない場合の対処法について解説しました。

 

示談が成立したにも関わらず、慰謝料が支払われないケースは珍しくありません。
こうした場合には、公正証書や調停、裁判による債務名義があれば強制執行によって慰謝料を回収することができます。
ただし、それまでには時間もかかってしまうため、早期解決のためにも専門家である弁護士に相談してみましょう。

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