慰謝料の追加請求は認められる?追加請求を避けるために知っておくべきことを紹介
不倫不倫の慰謝料を請求して慰謝料を支払ってもらったものの、追加請求したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
追加請求を考える理由には、「また不倫が発覚した」「慰謝料がやっぱり低すぎた」などさまざまな原因が考えられます。
一度示談で合意した後に、慰謝料を追加請求することは可能なのでしょうか?
今回は、慰謝料の追加請求について解説します。
追加請求をするような事態を避けるために慰謝料請求であらかじめ注意すべきポイントも紹介しているので、併せて参考にしてください。
慰謝料の示談後に追加請求が起こるケースとは
慰謝料請求で合意に至れば示談が成立し、慰謝料を支払ってもらえば問題は解決したことになります。
しかし、示談の成立後に慰謝料の追加請求が行われるようなケースもあります。
慰謝料の追加請求はどのようなケースで行われるのでしょうか?
1.合意した金額に納得できていない
慰謝料を請求して相手に支払ってもらったものの、合意した金額に納得できずに追加で請求したいと考える方もいるでしょう。
慰謝料の適正金額を知らないまま合意してしまい、後から受け取った慰謝料の金額が低かったことを知れば起こり得ると考えられます。
また、精神的苦痛がなかなか癒えず、もっと慰謝料を請求したいと考えるようなケースもあるでしょう。
2.示談した後に離婚することになった
不倫慰謝料の場合、不倫をした配偶者と不倫相手の二人に慰謝料を請求することができます。
不倫が発覚して離婚しない場合、不倫相手だけに慰謝料を請求するケースが多いです。
そして、離婚しないため精神的苦痛は少ないと判断され、離婚する場合よりも慰謝料の金額は低くなります。
しかし、夫婦関係の修復が難しく、結果的に離婚することになってしまえば「不倫相手に追加請求したい」「不倫をした配偶者にも慰謝料を請求したい」と考えるでしょう。
3.再び不倫が発覚した
示談が成立して問題が解決したと思っていたら、再び不倫が発覚することもあるでしょう。
新しい相手と不倫をしているようなケースもあれば、問題になった同じ相手と不倫関係を継続していたり、再び同じ相手と不倫関係になってしまったりするケースもあります。
再び発覚した不倫によって精神的苦痛を受ければ、慰謝料を追加請求したいと考えるようになります。
慰謝料の追加請求は認められるのか?
示談が成立して相手が慰謝料を支払っているのであれば問題は解決していると判断されるため、追加請求は認められないことが多いです。
不倫の慰謝料請求は、不倫をされたことで受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。
そのため、通常であれば何度も請求されるものではありません。
しかし、追加請求することに合理的な理由があれば、追加請求が認められるようなケースもあります。
不倫慰謝料で追加請求はできないと諦める前に、ご自身の状況から追加請求が認められるかどうか確認してみてください。
慰謝料の追加請求が認められるケース
不倫慰謝料は一度請求されれば示談によって問題が解決するはずですが、場合によっては追加請求が行われることがあります。
全てのケースで追加請求が認められるわけではないため、まずは追加請求が認められるケースから確認していきましょう。
1.新しい相手と不倫が発覚した場合
不倫慰謝料は、不貞による不法行為の損害賠償を指します。
そして、この損害賠償は不貞行為ごとに発生するため、新しい相手と不倫が発覚すれば再度慰謝料を請求することが可能です。
例えば、配偶者の不倫が発覚して配偶者と不倫相手に慰謝料を支払ってもらった後に、別の相手との不倫が発覚すれば、その別の相手との不倫に対しても慰謝料を請求することができるということになります。
2.同じ相手と不倫関係が続いていた場合
示談が成立し、慰謝料を支払ってもらえば不倫関係も清算されたと考えるものです。
しかし、こっそりと不倫関係を継続させているような場合や、一度は関係を清算したものの再び復縁してしまっているような場合もあるでしょう。
示談後にも同じ相手との不倫関係が続いていることが発覚した場合は、示談後の不貞行為に対して慰謝料を請求できる可能性があります。
示談は、示談前の不倫に対して行われるものです。
そのため、示談後の不倫は再び慰謝料を請求することができると考えられます。
慰謝料の追加請求が認められないケース
慰謝料の追加請求が認められるようなこともありますが、認められないケースもあります。
慰謝料の追加請求が認められないのは、次のようなケースです。
1.示談書に清算条項があった場合
示談に双方が合意すれば示談書を作成しますが、その際には「清算条項」が記載されることが多いです。
清算条項とは、契約で定めた以外に一切の債権・債務がないことを確認する文言であり、示談成立後に紛争が無視変えられることを予防するための条項になります。
示談書に清算条項があった場合には、原則として示談した不貞行為に関する問題を蒸し返して追加請求することは認められない可能性が高いです。
2.慰謝料請求の時効が成立している場合
何らかの理由があって慰謝料を追加請求しようとしても、慰謝料請求の時効が成立しているような場合は慰謝料を請求する権利が消滅してしまっています。
そのため、追加請求の有無に関係なく慰謝料を請求できません。
不倫の慰謝料請求の時効は、不倫や不倫相手を知った時から3年です。
ただし、不倫が原因で離婚する場合、配偶者への慰謝料請求は離婚した時が起算点になります。
3.時間が経過してから離婚することになった場合
不倫が発覚した当初は離婚しないつもりだったものの、夫婦関係の修復が難しく、結果的に不倫が原因で離婚することになってしまうようなケースもあるでしょう。
慰謝料の請求時の状況が変わっているため追加請求が認められるようなケースもありますが、示談の条件に間違いがない限りは認められない可能性が高いです。
なぜならば、不倫に関する示談はすでに成立していると考えられるからです。
不倫相手に対する慰謝料請求に関しても同様で、すでに示談後に不倫関係が解消されているのであれば追加請求は難しいと考えられます。
4.合理的な理由がない場合
慰謝料の追加請求が認められるには、「合理的な理由」が必要です。
「その時は納得したので示談に合意したけれど、後から納得できないと考え直した」「慰謝料が相場よりも低いことを後から知った」などという理由は、慰謝料を追加請求する合理的な理由とは言えません。
合理的な理由かどうかの判断が難しい場合には、弁護士に相談してみましょう。
慰謝料の追加請求に応じてもらえない場合の対処法
慰謝料の追加請求を行っても、相手が必ず応じてくれるとは限りません。
慰謝料の追加請求に応じてもらえない場合、どのようにすれば良いのでしょうか?
慰謝料の追加請求に応じてもらえない場合の対処法をご紹介します。
1.離婚時の財産分与で追加請求の代替えを提案する
離婚をする場合、離婚時には財産分与を請求することができます。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分割する制度です。
慰謝料の追加請求には応じてもらえなくても、財産分与で慰謝料の追加請求の代わりに多めに分配してもらえる可能性はあるでしょう。
財産分与も相手と協議を行う必要があるため、追加請求の代替えとしての分配率を相手に提案してみてください。
2.弁護士に相談する
相手が慰謝料の追加請求に応じない場合は、弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談すれば、追加請求が認められるケースなのかどうか判断してもらうことができます。
そして、追加請求が可能なケースであれば、依頼することで弁護士が代理人として追加請求の手続きや交渉を行ってくれます。
弁護士が介入することで、相手は法的手段に移行する一歩手前の状況であることを理解します。
そのため、追加請求を無視や拒否しているようなケースでも、何らかの返答を得られる可能性が高まります。
もし相手が無視や拒否を続けて裁判へ移行するような場合でも、弁護士に依頼していれば継続して裁判手続きなども全て任せられます。
3.裁判で請求する
相手が追加請求を無視や拒否している場合、最終的には裁判で請求するという選択肢もあります。
裁判所に申立てを行い、受理されれば、相手に裁判所から通知が届きます。
裁判所からの通知がくれば相手は無視せず、裁判所が決めた期日の口頭弁論に出席すると考えられます。
そして、裁判になれば何らかの結論が必ず出ることになります。
裁判で追加請求が認められれば、相手は判決通りに支払いを行わなければなりません。
もし相手が支払いを行わない場合、強制執行により財産の差押えが可能になります。
追加請求を避けるために知っておくべきこと
示談成立後に追加請求したいと考えてしまうような事態を避けるためには、最初の慰謝料請求で後悔のないように示談を進める必要があります。
これから紹介するポイントを知っておけば、納得できる慰謝料請求になり、追加請求を避けられるはずです。
初回の慰謝料請求の際には、次のポイントを押さえておきましょう。
1.適正な慰謝料金額を知っておく
追加請求したいと考えるようになるキッカケのひとつに、慰謝料の金額に納得できていないことが挙げられます。
「合意した金額は低かったかもしれない」「もっと高額な金額で請求すればよかった」などと後悔しないようにするために、あらかじめ慰謝料の適切な金額を知っておくことが大切です。
慰謝料の金額は法律で定められているわけではありませんが、不倫慰謝料の相場は50~300万円と言われています。
裁判では婚姻期間の長さや子供の有無、不倫期間など全体を考慮した上で、慰謝料金額が決定します。
ご自身の状況の適切な慰謝料金額を知りたい場合には、弁護士に相談してみてください。
2.相手が支払えない場合は分割払いを提案できる
相手に慰謝料の支払い能力がない場合、減額交渉に応じて示談成立になるようなケースもあるでしょう。
「相手が払える値段に減額したものの、やはり適切な金額を受け取りたかった」と後悔しても追加請求は認められません。
こういった後悔を避けるために、減額に応じる前に分割払いを提案するという選択肢もあります。
慰謝料は原則的に一括払いですが、当事者間で示談する場合は分割払いを提案することも可能です。
分割払いならば一度に支払う金額は少ないため、相手も支払える可能性があります。
ただし、分割払いは相手が最後まで履行してくれないというリスクもあるため、あらかじめ支払いが滞った場合のペナルティも決めて示談書に記載しておくべきです。
3.不倫の再発が不安な場合はペナルティを決めておく
示談成立後に不倫が再発することへの不安があるという方もいると思います。
示談して離婚はしなかったものの、もしかすると夫婦仲が修復できずに離婚することになってしまうケースもあるかもしれません。
こうした不安がある場合には、ペナルティについても決めておきましょう。
「次に浮気が発覚した場合は慰謝料○○円支払う」「不倫相手と再び関係を持った場合は離婚に合意して慰謝料として○○円支払う」など決めておき、示談書にも記載しておけば証拠として残すことができます。
4.示談書は公正証書で作成する
示談書の形式は決まったものがないため、当事者が自由に作成できます。
しかし、示談成立後に支払いの不履行などのトラブルを避けるために、示談書は公正証書で作成することをおすすめします。
公正証書は公正役場で作成してもらい、内容を証明することができる書面です。
そのため、公正証書は証拠能力が高く、裁判に発展した場合も証拠として提出することができます。
また、相手が公正証書の内容通りに支払いを行わなかった場合、強制執行によって財産の差押えを行うことが可能です。
まとめ
今回は、慰謝料の追加請求について解説しました。
違う相手と不倫していた場合や、再び同じ相手との不倫が発覚した場合は追加請求をする事が可能です。
合理的な理由がなければ追加請求は認められない可能性がありますが、場合によっては任意で相手が支払ってくれるようなケースもあれば、財産分与など他の方法で慰謝料の代わりの請求を行えるケースもあるでしょう。
追加請求についてお悩みの場合には、まずは弁護士にご相談ください。
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