不倫してしまったらどうなる?不倫してしまった場合の対処法やリスクを解説
不倫出来心や魔がさして不倫をしてしまったものの、不倫した後に「不倫がバレたらどうしよう」「不倫からトラブルになったらどうすればいいのか」と悩んでしまう方もいるでしょう。
不倫をした場合には、さまざまなリスクが発生します。
不倫をしてしまったことは取り消せませんが、不倫によって生じるリスクに備えて対処しておくことはできます。
今回は、不倫してしまった場合のリスクや対処法について解説します。
併せて不倫をして慰謝料請求された場合の対処法や、離婚になった場合の注意点についても解説しているので参考にしてみてください。
不倫してしまった?そもそも不倫の定義とは
そもそも不倫とは、どのような行為を不倫と定義するのでしょうか?
不倫の線引きに関する考え方には個人差がありますが、慰謝料や離婚の請求が認められるのは、法的に不倫と認められるような場合です。
まずは、不倫の定義についてご紹介します。
1.不倫 = 配偶者以外の人と性交渉すること
夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の人と性交渉することが禁じられています。
つまり、「配偶者以外の人と性交渉すること」が法的に不倫だと認められる行為だと言えます。
不倫の考え方には個人差がありますが、「連絡を頻繁に取っている」「食事を何度かした」だけでは法的に不倫とは認められません。
また、手を繋ぐ、キスをする、ハグをするなどのスキンシップも不倫にはなりません。
しかし、一度でも性交渉をすれば不倫になります。
2.不倫時に夫婦関係が破綻していなかった
不倫をした時に、すでに夫婦関係が破綻していたという場合であれば、法的な不倫は成立しません。
夫婦は法律によって婚姻共同生活の平和を維持する権利が守られています。
しかし、夫婦関係が破綻していればその権利は存在しないものと考えられるため、配偶者以外の人と性交渉しても不倫と認められない可能性があるのです。
夫婦関係が破綻していたと認められるようなケースは、次の通りです。
- 長期間別居している(3年以上が目安)
- 離婚手続きを進めている
こうした状態に該当せず、夫婦関係が破綻していない状態で配偶者以外の人と性交渉をすれば不倫になります。
3.故意や過失がある
不倫は不法行為であり、不法行為は故意や過失があった場合に成立することが法律上で定められています。(民法第709条)
不倫における故意や過失とは、相手が既婚者であることを知っていた(故意)場合や、相手が既婚者であることを知らかったことに落ち度がある(過失)場合が該当します。
相手が独身だと偽って積極的に騙し、性交渉をしたのであれば不倫として認められません。
ただし、よく観察すれば既婚者であることに気付けたはずである場合は過失として不倫が成立する場合があります。
4.内縁関係や婚約関係でも成立する
不倫は婚姻関係のある夫婦だけではなく、内縁関係や婚約関係でも成立します。
内縁関係は「事実婚」とも呼ばれ、法的な婚姻手続きは行っていないものの夫婦として生活を共にしている関係のことを指します。
内縁関係は法的に婚姻関係と同様の扱いになることが多く、不倫に関しても婚姻関係のある夫婦と同様に認められます。
また、婚姻の約束をしている「婚約関係」でも婚約者以外の人と性交渉をすれば不倫として扱われます。
ただし、内縁関係や婚約関係ではなく、恋人関係で同棲している場合には法的な不倫扱いにはなりません。
不倫してしまった場合はどんなリスクがあるのか?
不倫してしまった場合には、さまざまなリスクを背負うことになります。
もし不倫がバレてしまった場合、どのようなことが起こり得るのか知っておきましょう。
1.バレれば周囲からの社会的信用が下がる
不倫が周囲の人にバレてしまえば、あなたの社会的信用度が下がると考えられます。
例えば、社内不倫をして会社で不倫をしていたことがバレれば周囲からの信用度は下がってしまうでしょう。
不倫で懲戒解雇になるようなことはなくても、部署移動などはあるかもしれません。
親や親族にバレれば、親族内での信用度が下がってしまう可能性もあります。
社会的信用度が下がることに実害はないかもしれませんが、人間関係の悪化や精神的にダメージを負うことになると考えられます。
2.配偶者から慰謝料を請求される
不倫は法律上で「不貞行為」と呼ばれ、不法行為に該当します。
不法行為とは他人の権利や利益を不法に侵害する行為であり、不倫は夫婦の婚姻共同生活の平和を維持する権利を侵害する行為です。
そして、不法行為があった場合、加害者は被害者に対して損害を賠償する責任を負います。(民法第709条)
そのため、不倫によって配偶者が受けた精神的ダメージを賠償する責任が生じ、慰謝料として請求された場合には支払う義務が発生します。
3.配偶者から離婚を請求される
不倫をしたことを配偶者が許せないと考えれば、離婚を請求される可能性があります。
離婚する方法は、「協議」「調停」「裁判」の3種類が存在します。
協議の場合は双方の合意が必要になるため、離婚に合意しなければ離婚は成立しません。
しかし、裁判で離婚請求されれば、あなたが離婚に合意しなくても法律上で離婚が成立します。
なぜならば、不倫は「法定離婚事由」という法律で定められている離婚理由に該当するからです。
不倫が原因で離婚する場合、併せて請求される慰謝料は高額になる傾向があります。
4.相手の配偶者から慰謝料請求される
不倫した相手が既婚者だった場合、相手の配偶者から慰謝料請求される可能性があります。
あなたが相手が既婚者だったことを知らず、知らなかったことを証明できれば慰謝料は認められない可能性があるでしょう。
しかし、知っていて性交渉した場合や、後から既婚者であることを知ったものの関係と続けていた場合には、慰謝料を支払う義務が生じます。
あなたが既婚者で不倫相手も既婚者であれば、双方が慰謝料を請求し合うという泥沼化する可能性があります。
また、あなたが既婚者で不倫が原因で離婚する場合であれば、配偶者からも不倫相手の配偶者からも慰謝料を請求され、金銭的に大きなダメージを受けると考えられます。
5.独身と偽っていれば不倫相手から慰謝料請求される
あなたが独身と偽り、未婚の相手と性交渉をした場合には、「貞操権の侵害」になります。
貞操権とは自由意志で性交渉する相手を選べる権利のことで、未婚の場合には貞操権が存在します。
本来であれば既婚者と分かっていれば性交渉しなかったと考えられるため、貞操権が侵害されたことになります。
そうすれば、不法行為が成立して不倫相手に慰謝料を支払う義務が生じます。
ただし、既婚者と分かってからも肉体関係を継続していた場合には貞操権の侵害は成立せず、慰謝料を支払う必要はありません。
不倫してしまった場合の対処法
不倫してしまった場合にはさまざまなリスクが生じることを知れば、配偶者や周囲へ不倫がバレないようにしたいと考えるものです。
不倫してしまったことは取り消せませんが、不倫をしてしまった場合には次の方法で対処しましょう。
1.すぐに不倫関係を清算する
不倫関係が長引けば長引くほどお互いが本気になってしまい、別れられなくなってしまう可能性があります。
また、不倫が長引くほど配偶者にバレてしまうリスクも高まるでしょう。
そして、不倫の期間や回数が多くなるほど慰謝料請求された場合の金額が高額になる傾向があります。
配偶者にバレないからといって不倫を続けるのではなく、関係をすぐに清算することをおすすめします。
2.不倫の証拠を残さないようにする
不倫をしてしまった場合、不倫の証拠を残さないようにしましょう。
不倫の証拠があれば、慰謝料や離婚請求が認められてしまいます。
不倫をしてしまったことは取り消せないので、不倫をしたという証拠は消してしまうべきだと言えます。
もちろん、証拠を消して不倫がバレないのであれば何度でも不倫してもいいというものではありません。
あくまでも不倫の証拠を消すことは応急処置であり、本来であれば不倫は不法行為なのですべきことではないことを知っておきましょう。
不倫してしまい、慰謝料を請求された場合はどうすべきか?
不倫した結果、配偶者や不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されてしまうケースもあります。
また、自分が独身と偽って不倫関係を始めてしまって慰謝料を請求されるケースもあるでしょう。
もし不倫をして慰謝料を請求されれば、どのように対応すべきなのでしょうか?
1.不倫の証拠がない場合は認めない方が良い
不倫の慰謝料を請求されたとしても、相手は証拠がない状態で慰謝料を請求している場合があります。
証拠がなければ不倫があったことを立証できませんし、裁判になったとしても証拠がなければ慰謝料や離婚は認められません。
そのため、不倫の証拠がない場合には不倫を認めない方が良いと言えます。
証拠がないにも関わらず不倫を認めれば、配偶者と関係をやり直すことが難しくなる可能性があります。
また、離婚する場合でも不倫を認めることで離婚協議で不利になってしまうでしょう。
2.誠意を持って謝罪する
不倫の慰謝料を請求された場合には、まずは誠意を持って謝罪することが大切です。
相手は慰謝料を請求するほど怒りや悲しみを抱えています。
そのため、無視や言い逃れしようとする態度を取れば、相手を逆上させてしまう恐れがあります。
誠意を持って謝罪すれば、相手も少し気持ちを落ち着かせて対応してくれる可能性があるため、まずは誠実に対応する姿勢を見せるようにしましょう。
また、もし不倫が誤解だった場合でも、不倫のことは否定しつつ誤解させたことに対して謝罪することをおすすめします。
3.言われるままに慰謝料は支払わない
慰謝料を請求された場合に誠実に対応する姿勢を見せることは大切ですが、相手の言われるままに慰謝料を支払うことは危険です。
言われるままに慰謝料を支払うのではなく、次のことを確認しましょう。
①慰謝料の支払いの必要性の確認
まずは、慰謝料の支払いの必要性が本当にあるのか検討してみてください。
相手が不倫だと考えていても、法的な不貞行為に該当しないケースがあります。
また、すでに夫婦関係が破綻していた場合など慰謝料を支払う義務がないようなケースに該当するかもしれません。
②慰謝料の金額の適正性の確認
相手に言われるままに慰謝料を支払えば、相場の慰謝料よりも高額な金額を支払ってしまう恐れがあります。
慰謝料の金額は法律で決められているわけではありません。
しかし、過去の判例などから相場金額を知れば、ご自身のケースの慰謝料の金額の適正性を判断しやすくなるでしょう。
もし適正な慰謝料金額ではない場合、相手と減額交渉を行うことになります。
4.弁護士に相談する
慰謝料を請求された場合、まず弁護士に相談することをおすすめします。
初回は無料相談の弁護士事務所も多いので、状況を説明して慰謝料の支払いの必要性や金額の適正性などを確認しましょう。
また、今後どのように対応すべきなのかアドバイスを得られるはずです。
不倫してしまい、離婚になる場合の注意点
不倫してしまった場合、配偶者が離婚を切り出す可能性があります。
夫婦関係の修復が難しい場合には離婚請求へ応じることになりますが、不倫から離婚になった場合にはいくつか注意すべき点があります。
1.離婚は不倫慰謝料の増額要因になる
不倫が原因で離婚する場合、配偶者から不倫慰謝料を請求されれば慰謝料の金額は高額になる可能性があります。
不倫の慰謝料の金額を決める要因に離婚の有無も考慮され、不倫が原因で離婚するのであれば配偶者の受けた精神的苦痛は大きいと判断されます。
そのため、不倫慰謝料を請求された場合には高額な慰謝料を支払う可能性があることを知っておきましょう。
2.離婚成立前に慰謝料は支払うべきではない
離婚成立前に慰謝料を請求されたとしても、離婚が成立する前であれば慰謝料は支払わない方がいいでしょう。
なぜならば、離婚する際には財産分与があり、慰謝料を含めた財産分与を行うことも可能だからです。
財産分与とは夫婦で築いてきた財産を分配する法制度で、一般的には夫婦で財産を半分ずつに分けます。
しかし、慰謝料の代わりとして財産分与で相手に多く財産を分配することもでき、その場合には相手は再度慰謝料を請求することは出来ません。
3.不倫は親権に影響しない
子供がいる場合、離婚の際には一方の親が親権を持って子供と生活することになります。
親権を決める上での判断基準に離婚原因は関係しないため、不倫をしたから親権争いに不利になってしまうことはありません。
親権を決める判断基準では、主に子供を監護養育していた配偶者が有利になります。
また、子供が15歳以上であれば、子供の意思が尊重されます。
まとめ
今回は、不倫してしまった場合の対処法について解説しました。
不倫は慰謝料や離婚などのトラブルに発展し、非常にリスクの高い行為です。
不倫をしないことが最も得策ではありますが、すでに起こってしまったことは取り消せません。
慰謝料や離婚などのトラブルに発展した際には、専門家である弁護士に相談しましょう。
弁護士のサポートを受ければ、ダメージを軽減してトラブル解決に向けたサポートを受けられます。
一人で焦って対処すればトラブルが大きくなってしまう恐れもあるので、まずは相談から始めてみてください。
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