不倫慰謝料はどれくらいの金額を請求できる?不倫慰謝料の計算方法を解説

配偶者が不倫をしていた場合、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求することができます。
しかし、不倫慰謝料はどれくらいの金額を請求できるのか分からないと金額設定で悩んでしまう方も多いでしょう。
 
今回は不倫慰謝料の計算方法について詳しく解説します。
ご自身の状況などを当てはめながら金額の算出の参考にしてください。
 

不倫慰謝料の金額を決める方法とは

 
不倫慰謝料を請求するのであれば、どれくらい請求できるのか金額を知っておきたいと考える方は多いでしょう。
 
まずは、不倫の慰謝料の金額を決める方法や、不倫慰謝料の相場についてご紹介します。
 

1.慰謝料額に明確な決まりはない

 
慰謝料とは、精神的苦痛への損害賠償金のことを指します。
 
精神的苦痛は状況によって異なると考えられるため、金額に計算することは難しいものです。
そのため、法律上で慰謝料の金額や計算方法に明確な決まりはありません。
 
不倫慰謝料の金額は、不倫の状況や被害者が被ったダメージなど全体の状況から被害の大きさから金額が算出されます。
 

2.不倫慰謝料には相場がある

 
不倫慰謝料の金額に明確な決まりはないため、慰謝料請求を行う場合には被害者が金額を自由に設定することができます。
 
しかし、不倫慰謝料には金額の相場があるため、相場からあまりにかけ離れた金額を請求しても相手の合意を得ることは難しいと予想されます。
そのため、不倫慰謝料の相場金額を知った上で、金額を設定する必要があります。
 
不倫慰謝料の金額相場は50~300万円です。
相場の金額幅が大きいですが、状況を考慮して精神的苦痛の大きさに応じて金額が変わります。
 

不倫慰謝料の増減に考慮される要素

 
不倫慰謝料の金額は、不倫の状況や夫婦関係の状態などさまざまなことを考慮して算出されます。
 
不倫慰謝料の増減に主に考慮される要素は次の9つが挙げられます。
ご自身の状況と照らし合わせ、慰謝料を算出する参考にしてください。
 

1.不倫の年数や回数

 
不倫の年数や回数が増えるほど、配偶者へ与える精神的苦痛は大きいと考えられます。
そのため、不倫の年数が長いほど慰謝料金額は高額になります。
 
不倫が数カ月単位であれば短いと判断され、1年以上など年単位になれば長いと判断される傾向があります。
また、不倫の年数だけではなく、不倫回数も慰謝料の増減要素に含まれます。
たとえ不倫期間が短いとしても、不倫回数が多ければ慰謝料金額も増額されます。
不倫回数が数回程度あれば少ないと判断されますが、20~30回以上の場合は多いと判断される傾向があります。
 

2.不倫による別居や離婚の有無

 
不倫により別居や離婚など夫婦関係が破綻した場合には、精神的苦痛が大きいと判断されるので慰謝料金額も高額になります。
 
不倫が原因で離婚に至るような場合の慰謝料相場は150~300万円と高額です。
別居の場合でも100~200万円と離婚ほどではないものの高額な慰謝料になる傾向があります。
 
一方で、不倫があったものの別居もせずに婚姻関係を継続する場合には精神的苦痛はそれほど大きくなかったと考えられるため50~100万円と金額が低くなります。
 

3.不倫前の夫婦関係の状態

 
不倫が行われる前の夫婦関係の状態も慰謝料の増減を決める要素の1つです。
 
不倫前の夫婦関係が円満であれば精神的苦痛は大きいと判断され、慰謝料の増額に繋がります。
一方で、不倫前に夫婦関係が円満でなければ精神的苦痛は少ないと判断されるため、慰謝料が減額される可能性があります。
 
また、不倫時に夫婦関係が完全に破綻していたような場合であれば、慰謝料請求は認められない可能性が高いので注意が必要です。
 

4.婚姻期間

 
不倫慰謝料は、婚姻期間が長いほど高額になる可能性があります。
 
1~5年ほどの婚姻期間であれば短いと判断されるため、減額要素になります。
しかし、婚姻期間が10年を超えるような場合には不倫による精神的苦痛も大きいと判断されるため、慰謝料の増額に繋がります。
 

5.妊娠の有無

 
妊娠中にも関わらず、夫が不倫をしたという場合には慰謝料の増額が期待できます。
 
出産に向けてストレスのかかる状況は避けるべきにも関わらず、不倫をして精神的苦痛を与えることはダメージが大きいと考えられるため、慰謝料が高額になる傾向があります。
 
また、不倫相手が妊娠した場合も同様に慰謝料の増額要素になります。
相手が不倫により妊娠すれば、精神的苦痛も大きくなると判断されます。
 

6.不貞行為の主導権

 
不倫への積極性も慰謝料金額を決める判断材料の1つです。
 
積極的に不倫を持ち掛け、不倫関係を主導していた側の責任が重くなります。
例えば、不倫相手に慰謝料請求を行うのであれば、不倫相手が積極的に配偶者に不倫関係を迫っていたのであれば慰謝料は増額されるでしょう。
 
ただし、どちらが不貞行為の主導権を握っていたのか証明することは難しいケースも多いです。
口頭での主張は証拠として認められにくいため、メールのやり取り内容など明確な証拠が必要になります。
 

7.夫婦間の子供の有無

 
夫婦の間に子供がいる場合には、子供がいない場合よりも慰謝料が高額になる可能性があります。
 
とくに子供の年齢が幼いほど慰謝料金額は高額になることが多いです。
子供が幼い場合には両親の存在が必要になるにも関わらず、不倫をすることは子供の将来に影響を与えてしまう可能性があります。
そのため、幼い子供がいる場合には相場よりも高い慰謝料が支払われる可能性があると考えられます。
 

8.反省の姿勢の有無

 
不倫が発覚した後の反省の姿勢の有無も慰謝料金額に影響を与えます。
 
不倫が発覚した後に反省し、不倫関係を終わらせた場合には反省していると判断されます。
しかし、不倫したことへの謝罪がない場合や、不倫発覚後も不倫関係を続けているような場合には反省していないと判断されるため慰謝料が増額される傾向があります。
 
また、不倫が発覚した際に、証拠があるにも関わらず不倫を否認するような場合は反省していないと判断され、慰謝料の増額の要素になります。
 

9.慰謝料請求された側の財力

 
慰謝料請求する相手の社会的地位が高い場合や、収入や資産が多い場合には、慰謝料金額が増額される傾向にあります。
 
一方で、収入が低い場合には慰謝料金額は減額される可能性があります。
慰謝料の支払いは基本的に一括払いになるため、経済的に余裕がない相手に高額な請求をしても支払うことができないため、収入などが考慮されます。
 

不倫慰謝料請求を高額にするためにすべきこと

 
不倫慰謝料を請求するのであれば、できるだけ高額な金額を請求したいと考えるものです。
 
不倫慰謝料を高額にするためにも、慰謝料請求を行う前に次のことを行いましょう。
 

1.不倫の証拠を集める

 
不倫慰謝料を請求するには、不倫の証拠が必要です。
 
証拠がなければ相手も不倫の事実を認めない可能性がありますし、裁判になった場合でも証拠がなければ不倫の立証が難しくなります。
まずは、不倫をしているという事実を証明できる証拠を集めましょう。
 
不倫と認められるには、不倫相手と肉体関係があったことが分かる証拠が必要になります。
証拠として認められやすいものは、不倫相手とホテルに出入りしている写真や、肉体関係があることが分かる写真やメッセージ内容、ホテルや旅行などのレシートなどが挙げられます。
 
肉体関係があることが明確に分かる証拠がない場合でも、いくつかの証拠を組み合わせることで立証は可能です。
そのため、できる限り多く集めるようにしましょう。
そして、証拠の中から増額の要因となるものを見極めていき、増額の要因として提出できるように準備します。
 

2.弁護士に依頼する

 
不倫慰謝料の金額を少しでも高額にするためには、弁護士に依頼することをおすすめします。
 
弁護士に依頼すれば、交渉や手続きなどを全て任せることができます。
証拠集めに関するアドバイスなども受けることができ、不倫慰謝料の請求がスムーズに進むでしょう。
 
また、法的な知識や経験から交渉を行うことができるため、ご自身で請求を行うよりも高額な慰謝料金額に交渉することが期待できます。
 

不倫慰謝料を請求する場合の注意点

 
不倫慰謝料を請求する場合には、いくつかの注意点があります。
 
あらかじめ情報集めや状況確認を行わなければ不倫慰謝料の請求ができない場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
 

1.不倫慰謝料を請求できないケースもある

 
不倫が事実であっても、不倫慰謝料が請求できないようなケースもあります。
 
不倫相手に慰謝料を請求したいと考えていても、相手に故意や過失がなければ慰謝料を請求することはできません。
故意や過失とは、既婚者であることを知らなかった場合や、既婚者であることを知り得る状況ではなかった場合のことを指します。
もし配偶者が独身であると嘘をついていたのであれば、不倫相手に故意はないので慰謝料請求することは難しいと言えます。
また、不倫が発生した時にすでに夫婦関係が破綻していた場合も慰謝料は請求できません。
 
夫婦は「婚姻共同生活の平和の維持」という権利や利益が法律で守られており、不倫はこの権利や利益を侵害するものとして慰謝料を請求することができます。
しかし、すでに夫婦関係が破綻していれば権利や利益は存在しないと判断されるため、慰謝料請求することができません。
 

2.不倫相手に請求する場合は相手の情報が必要

 
不倫慰謝料の請求は、自身の配偶者と不倫相手のどちらか、もしくは両者に行うことができます。
 
ただし、不倫相手に慰謝料を請求するのであれば、相手の名前と住まいの住所、もしくは勤務先が分かっていなければなりません。
 
慰謝料請求はメールや電話でも行うことができますが、公的な書面である内容証明で請求することが多くなっています。
内容証明を送付するには相手の住所もしくは勤務先が必要です。
住所や勤務先が分からない場合でも、電話番号が分かっていれば弁護士に依頼することで住所を調べることが可能です。
 

3.求償権による慰謝料金額が減額される場合がある

 
不倫相手に慰謝料を請求しても、相手が求償権を行使すれば慰謝料が減額される可能性があります。
 
不倫は当事者が2人で行う共同不法行為であり、2人に対して責任が生じます。
そのため、慰謝料全額を一方の加害者だけが支払った場合、もう一人の加害者に対して自身の責任の超過分の支払いを求めることができます。
 
例えば、不倫相手に慰謝料を300万円請求して支払ってもらった場合でも、相手が求償権を行使すれば配偶者が150万円を支払わなければなりません。
そのため、不倫発覚後も離婚せずに婚姻生活を継続させるのであれば、求償権を考慮して不倫に相手に慰謝料請求を行う必要があります。
 

不倫慰謝料を請求する方法

 
不倫慰謝料を請求するための証拠集めや、慰謝料の金額を決めることを終えれば、いよいよ慰謝料を請求することになります。
 
不倫慰謝料を請求する方法は、「自分で請求する」方法と「弁護士に依頼する」方法の2種類が挙げられます。
それぞれのメリットやデメリットを確認し、慰謝料の請求を進めましょう。
 

1.自分自身で準備して請求する

 
自分自身で不倫慰謝料を請求する場合、内容証明郵便で書面を相手に送付します。
そして、相手が書面を受け取った後は当事者同士で交渉を行い、合意した内容を合意書や公正証書にします。
 
自分で書面を準備するには調べながら文書の作成を行う必要があり、時間や手間がかかります。
また、当事者と直接交渉を行うことは精神的な負担が非常に大きくなるでしょう。
感情的になってしまい、トラブルに発展することも珍しくありません。
 
自分自身で慰謝料請求をするメリットは、費用がかからない点が挙げられます。
 

2.弁護士に依頼して請求する

 
不倫慰謝料の請求は、弁護士に依頼して行うことができます。
 
弁護士に依頼すれば証拠集めの時点からアドバイスをもらうことができ、有利にするための証拠集めが可能になります。
また、面倒な書面での手続きや相手との交渉も全て任せることができるので、精神的な負担を大幅に減らすことができます。
もし裁判になる場合でも、全てを任せられるという点が大きなメリットであると言えます。
 

まとめ

 
今回は不倫慰謝料の金額の計算方法について解説しました。
 
不倫慰謝料の金額は明確に定められていないため、さまざまな要素が考慮されて増減が決まります。
自分自身で慰謝料の金額を算出することが難しいという場合には、弁護士に相談してみましょう。
過去の判例や経験から状況を考慮した慰謝料の相場額を知ることができ、そのまま依頼すれば交渉や手続きなどを任せることができます。

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