マッチングアプリで知り合った男性が既婚者だった場合は慰謝料請求できる?慰謝料請求の方法を解説
最近ではマッチングアプリでの出会いが浸透しており、マッチングアプリで恋活や婚活を行う方も多いでしょう。
しかし、マッチングアプリの普及に伴い、トラブルも増加しています。
そのトラブルの1つが、既婚者が独身と偽って登録して独身女性と交際するという内容です。
もしマッチングアプリで知り合った男性が既婚者だった場合には慰謝料請求することは可能なのでしょうか?
今回は、マッチングアプリにおける既婚者相手の慰謝料請求について解説します。
マッチングアプリで知り合った男性が既婚者かもしれない?既婚者を見極める方法
マッチングアプリは独身の男女が利用することを前提としていますが、実際には既婚者も独身と偽って利用しています。
アプリによっては独身証明を提出できるものもありますが、多くのマッチングアプリでは身分証明のみで独身証明を提出しなくても利用できるシステムになっています。
そのため、既婚者に騙されないように十分に注意してアプリを利用しなければなりません。
次のような特徴がある場合、既婚者かもしれないと疑ってください。
1.すぐに身体の関係を持とうとする
通常であれば、何度か会ってから交際することになり、身体の関係を持つという流れになるでしょう。
しかし、既婚者は遊び目的でマッチングアプリを利用しています。
そのため、初回や2回目など早い段階で身体の関係を持とうとすることが多いです。
すぐに身体の関係を持とうとする場合には、既婚者であることを疑いましょう。
もし既婚者ではない場合でも、真剣交際を目的としていない可能性があります。
2.休みの日には会えない
仕事が休みの土日には会えず、平日の仕事終わりにばかりデートをするような場合には既婚者の可能性があると考えられます。
なぜならば、既婚者は土日に家族サービスをしなければならないため、自由に外へ出ることができないからです。
もし土日に会えたとしても短時間だけしか会えない場合にも注意してください。
仕事や散歩など言い訳をして家を出てきているという可能性があります。
3.夜は連絡があまり取れない
男性は連絡がマメではないというケースも多いです。
しかし、夜になると電話に出ない場合や、夜にメッセージがあまり返ってこない場合には既婚者かもしれないと考えてもいいでしょう。
自宅に帰ると奥さんの目があるため、連絡を返してこないという可能性が考えられます。
4.自宅に呼んでもらえない
一人暮らしをしていると言っているのに自宅には呼んでくれないという場合には、既婚者かもしれないと疑いましょう。
独身であれば家に来られても問題がないはずなので、自宅に行くことを拒否されれば既婚者の可能性が高いと言えます。
ただし、家に行きたいと言われることを防ぐために実家暮らしをアピールするようなケースもあるので注意してください。
5.電車のある時間に帰宅する
デートをしていても、必ず泊まらずに電車のある時間に帰宅するような場合は既婚者の可能性が高いと言えるでしょう。
とくに翌日が休日であれば、宿泊しても問題ないはずです。
しかし、泊まらずに帰るということは、家で家族が待っているからだと考えられます。
6.結婚の話を避けようとする
もし既婚者ならば相手はすでに結婚しているため、結婚の話は避けようとするでしょう。
結婚願望はまだないというような話をするケースもあるでしょう。
具体的な結婚の話や親に会うという話を避けるような場合には既婚であることを疑ってみてください。
既婚者だった場合に慰謝料請求することはできるのか?
マッチングアプリで知り合った男性が既婚者だった場合には、「貞操権の侵害」を理由に慰謝料請求を行うことができます。
貞操権とは、自分で自由に性的な関係を結ぶ相手を選ぶ権利や、自分の意思に反した性的な侵害を受けない権利を指します。
もし相手が既婚者であることを知っていれば性的な関係を結ばなかったはずなので、貞操権が侵害されたことになるのです。
貞操権を侵害した場合には損害を賠償する責任が生じることが民法第710条に定められているため、法的に慰謝料請求が認められることになります。
マッチングアプリで知り合った相手に慰謝料請求するための要件
マッチングアプリで知り合った相手に対して慰謝料請求をしたいと考える場合、次の要件を満たしていれば慰謝料請求が可能です。
慰謝料請求を行う前に、慰謝料請求できるケースに該当するか確認しましょう。
1.相手が独身と偽っていること
相手が「未婚」や「独身」と偽っていた場合、貞操権の侵害で慰謝料請求をすることができます。
マッチングアプリの場合はプロフィール欄に「未婚」や「独身」の記載が書かれていることを確認できるでしょう。
ただし、相手が何も説明しておらず、勝手に未婚だと思い込んでいたというような場合には貞操権の侵害が成立しない可能性があります。
2.肉体関係を持っていること
貞操権は、性的な自由を守るための権利です。
そのため、相手に騙されて肉体関係を持った場合でなければ性的な自由を侵害されたとは言えません。
肉体関係を持つ前に相手が既婚者であることが判明した場合には、慰謝料請求することは難しいでしょう。
反対に、一度でも肉体関係を持っていた場合には貞操権の侵害として慰謝料請求を行うことができます。
貞操権の侵害における慰謝料の相場金額とは?
貞操権の侵害における慰謝料金額の相場は、50~200万円ほどです。
慰謝料金額は法律で細かく定められていないため、言い値で慰謝料請求を行うことができます。
しかし、あまりに高額な慰謝料を請求すると相手が支払いを拒否する可能性が高いため、相場金額で請求することが一般的です。
貞操権の侵害の慰謝料金額は50~200万円が相場ですが、状況に応じて金額の増減が加味されます。
交際期間が長い場合や性交渉の回数が多ければ慰謝料の金額は増額される傾向にあります。
また、妊娠した場合や結婚の約束をしていた場合、相手が反省していない場合など、悪質性が高いと判断されるケースも慰謝料は高額になるでしょう。
既婚者だった相手へ慰謝料請求するために準備すべきこと
マッチングアプリで既婚者に騙されて肉体関係を持ってしまった場合、慰謝料請求をすることができます。
ただし、慰謝料請求を行うためには事前準備をすることが大切です。
相手に慰謝料請求を行う前に、次の準備を行うようにしましょう。
1.相手が身分を偽っていた証拠を集める
貞操権の侵害で慰謝料を請求するには、まず相手が「未婚」や「独身」と身分を偽っていたという証拠を集める必要があります。
マッチングアプリのプロフィール画面のスクリーンショットなどがあれば、証拠になるでしょう。
しかし、アプリを削除してしまい、プロフィール画面などが確認できないようなケースもあるでしょう。
その場合、相手とのこれまでのメッセージ履歴などから証拠を探します。
2.肉体関係があったことの分かる証拠を集める
貞操権の侵害で慰謝料を請求するには、肉体関係があったことの分かる証拠を集める必要があります。
なぜならば、証拠がなければ「肉体関係はなかった」「交際していない」と相手が主張する可能性があるからです。
客観的に見て肉体関係があったことの分かるような証拠を探しましょう。
複数の証拠を組み合わせることで有力な証拠になる場合もあるので、できるだけ多くの証拠を集めることをおすすめします。
3.相手の情報を集める
慰謝料を請求するためには、相手の情報も必要になります。
電話やメールでも慰謝料請求することはできますが、言った・言わないのトラブルを避けるためにも内容証明郵便で慰謝料請求を行うことが一般的です。
郵送になるので、最低限の情報として相手の名前と住所(もしくは勤務先)が分からなければ慰謝料請求を送ることができません。
また、相手が本当に既婚者かどうか分からないという場合であれば、既婚者であるかどうか確かめる必要もあります。
相手が既婚者かどうか確かめるには、興信所や探偵に依頼する方法と弁護士に依頼する方法の種類です。
相手が偽名の可能性があるのであれば、興信所や探偵に依頼すべきでしょう。
相手の名前と住所もしくは電話番号が分かっていれば、弁護士に依頼することで戸籍謄本から既婚者かどうか確認することができ、そのまま慰謝料請求の依頼も行うことができます。
慰謝料請求をする3つの方法
慰謝料請求を行う方法は、大きく分けると3種類の方法があります。
それぞれにメリットやデメリットがあるので、どのような方法で慰謝料請求すべきか検討して決めるようにしましょう。
1.相手に内容証明郵便を送る
慰謝料は、ご自身で請求を行うことができます。
口頭やメールなどどのような方法でも慰謝料請求することは可能ですが、内容証明郵便で請求を相手に送付することが一般的です。
内容証明郵便を利用することで、慰謝料請求をいつ誰に対して行ったのか証拠として残すことができ、相手が書類を受け取ったのか確認することもできます。
そして、相手と書面やメール、対面で交渉を行います。
当事者同士で話し合いを行う際には感情的になってしまい、話し合いが進まなくなることも多いので、冷静に話をするようにしましょう。
2.弁護士に依頼する
慰謝料請求は弁護士に依頼することで、代理人として内容証明郵便での請求手続きや交渉など全てを任せることができます。
弁護士から連絡が来れば、相手は法的手段になる可能性もあると理解するため、慰謝料請求が無視されにくくなります。
弁護士は法的知識があるだけではなく交渉力もあるため、ご自身で請求するよりも高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まるでしょう。
慰謝料請求は精神的な負担も大きいので、弁護士のサポートを受けることで気持ちの負担が軽減されます。
3.裁判で請求する
慰謝料請求の交渉で双方が合意に至らない場合には、裁判で争うことになります。
裁判で慰謝料請求をすれば、確実に判決や示談などで結果を出すことができます。
そして、相手が裁判の決定に従わないような場合には、強制執行による財産の差し押さえを行うことができます。
ただし、裁判になると解決までに時間を要することになります。
裁判手続きも適切に行う必要があるため、裁判での請求は弁護士に依頼することをおすすめします。
既婚者だった相手へ慰謝料請求する際の注意点
マッチングアプリで知り合った相手に慰謝料請求する場合、いくつか注意したい点があります。
トラブルが大きくなってしまうことを避けるためにも、次の3点に注意してください。
1.既婚者と判明した時点で関係を続けてはいけない
独身だと思っていた相手が既婚者であることが分かった時点で、関係を続けることは止めましょう。
既婚者であることが分かっても関係を継続すれば、不貞行為になってしまいます。
不貞行為とは「不倫」のことです。
不貞行為は不法行為に該当するため、相手の配偶者にバレた場合には慰謝料請求される恐れがあります。
関係を持った当初は既婚者であることを知らなかった場合でも、既婚の事実を知ってからも関係を継続していれば慰謝料請求の対象になってしまいます。
2.暴言や脅迫のような発言は避ける
慰謝料請求を行う際には、相手をののしるような暴言や脅迫のような発言は避けるようにしましょう。
暴言や脅迫は「名誉棄損」や「脅迫罪」として反対に相手から訴えられる可能性があるからです。
「慰謝料を払わないなら会社にバラす」「家族に痛い目を見せる」などの発言は脅迫に該当するため、注意が必要です。
相手に償ってもらうためにも、冷静に対応するようにしましょう。
3.相手の家族に連絡することは避ける
相手が既婚者だと判明した場合、怒りで相手の家族にも連絡したいと考える方もいるでしょう。
しかし、相手の家族に連絡するようなことは避けるべきです。
なぜならば、相手の家族からは不貞行為だと思われてしまう可能性があり、そうなれば反対に慰謝料請求されてしまう恐れがあるからです。
そうなるとトラブルが大きく発展してしまい、相手は離婚問題などに発展する可能性があります。
きちんと慰謝料を受け取るためにもトラブルが大きくならないように対処すべきでしょう。
まとめ
今回はマッチングアプリで知り合った相手が既婚者だった場合の慰謝料請求について解説しました。
既婚者と知らずに肉体関係を持ったのであれば、貞操権の侵害として慰謝料を請求することができます。
しかし、マッチングアプリで知り合ったため慰謝料請求したくても住所などが分からないというようなケースも少なくありません。
名前と電話番号が分かっていれば弁護士に依頼することで慰謝料請求できる可能性が高まります。
ご自身で請求することもできますが、話し合いがスムーズに進まない可能性もあるので、専門家である弁護士に任せることをおすすめします。
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