不倫慰謝料を請求されてしまった場合、どのように示談すべきか?示談のためのポイントを解説
不倫不倫慰謝料を請求されて困っていませんか?
不倫慰謝料を請求された場合には、請求者と話し合いによって示談を目指すことになります。
しかし、示談の経験がないということが大半なので、どのように示談すべきなのかご存じない方も多いでしょう。
そこで今回は、不倫慰謝料を請求された場合の示談について解説します。
示談成立までの流れや、示談のためのポイントなどを詳しくご紹介します。
不倫慰謝料を請求されてしまった場合、どうなるのか?
不倫慰謝料を請求されるという経験は頻繁に起こるものではないため、請求された後の展開についてご存じない方も多いと思います。
まずは、不倫慰謝料を請求されてしまった場合の展開についてみていきましょう。
1.話し合いで示談になる
不倫慰謝料請求の多くは、まず本人もしくは代理人の弁護士からの請求が行われます。
その請求された内容を基に、当事者間もしくは代理人と話し合いをします。
お互いの意見や希望を出し、双方が納得して合意に至れば示談になります。
示談になれば、合意した内容に沿った慰謝料の支払いなどを行います。
2.示談が成立しなければ裁判になる
話し合いにより双方もしくは一方が合意できないという場合には、示談は成立しません。
示談が成立しなければ、裁判へ発展することになるでしょう。
裁判になれば、確実に結果が出るからです。
そして、裁判による判決は必ず履行する必要があります。
もし裁判の判決内容を無視して慰謝料を支払わないような場合には、強制執行により財産の差し押さえが行われてしまいます。
不倫慰謝料の請求を示談にするメリットとは
「不倫慰謝料を支払いたくない」「無視していれば相手が根負けするだろう」などという考えて不倫慰謝料を無視することや、合意しないでいると、裁判に発展してしまう恐れがあります。
不倫慰謝料の請求を示談にすることにはメリットもあるため、まずはメリットを知ることで示談を前向きに考えてみましょう。
1.問題を長引かせずに解決できる
示談にすれば、問題を長引かずに解決できるというメリットがあります。
もちろん示談でなかなか合意に至らない場合には長引くこともありますが、やはり裁判になれば数カ月もしくは1年以上問題解決までに時間を要すことになります。
問題が解決するまでは精神面への影響もあり、長引くほど精神的に不安定な日が続くでしょう。
示談であればスムーズな問題解決を目指すことができ、精神面への影響も軽減させられると考えられます。
2.慰謝料の金額を交渉しやすい
裁判になれば判決によって慰謝料が決められることになり、その金額が変わることはありません。
しかし、示談では当事者同士で話し合いが行えるため、慰謝料の金額も交渉することができます。
相手が相場よりも高額な慰謝料を請求している場合であれば減額交渉をすることもできますし、経済的に支払いが難しい場合には説明することで相手が減額に応じてくれる可能性もあります。
3.示談するための条件を出しやすい
示談する場合には、相手にさまざまな条件を出すこともできます。
例えば、一度に慰謝料が支払うことが難しい場合であれば、分割払いに相手も合意すれば分割での支払いにすることができます。
また、「周囲の人に言いふらさない」「SNSで拡散させない」などといった条件を出すことも可能です。
こうした条件は、しっかりと示談書に記載しておくことが大切です。
不倫慰謝料の示談成立までの流れ
不倫慰謝料が示談成立するまでは、どのような流れで進むのでしょうか?
慰謝料請求から示談成立までの流れを知っておきましょう。
1.慰謝料の請求が届く
慰謝料の請求方法はとくに決められた方法はありませんが、多くの場合は内容証明という郵便で届きます。
内容証明郵便は、送付日や受け取り日、書面内容などを証明することができる郵便です。
そのため、「郵便は届いていない」「そんな内容の書類は知らない」などという言い訳をすることは出来ません。
書面には請求者名や請求内容などが記載されているため、まずは内容を確認しましょう。
2.当事者間で協議を行う
慰謝料請求の内容を確認した後は、相手に連絡を取って協議を行うことになります。
もし内容に思い当たる節がない場合でも、請求書を無視せずに相手に連絡を取るようにしましょう。
なぜならば、無視することで相手が逆上すれば裁判へ発展する可能性があり、請求書を無視したことは不利になる可能性があります。
協議方法は直接会って行うだけではなく、電話やメール、書面などでも行えます。
相手の要求を聞き、応えられる部分や譲歩して欲しい部分などについて話し合いを行い、合意に向けて調整していきます。
3.示談書を作成する
協議で合意に至った場合には、示談内容を書面にまとめます。
示談書の作成方法などに決まりはありませんが、公正証書で作成することや、弁護士に示談書の作成依頼をすることをおすすめします。
示談書を作成して双方が署名や押印をすれば、期日までに慰謝料の支払いを行うことで不倫慰謝料の問題は解決することになります。
不倫慰謝料の請求が届いた場合に確認すべきこと
不倫慰謝料の請求を受けた場合、相手に何らかの返答をする前にいくつか確認すべきことがあります。
不倫慰謝料の請求が届くと焦ってすぐに返答や支払いをしてしまうケースもありますが、まずは落ち着いて内容確認を行うようにしましょう。
不倫慰謝料の請求が手元に届いた時に確認すべき点は、以下の通りです。
1.慰謝料を支払う義務があるのか確認する
不倫慰謝料を請求された場合には、まず慰謝料を支払う義務があるのかどうか確認するようにしましょう。
不倫は法律上では「不貞」と呼ばれ、不法行為に該当するため賠償責任が生じます。
しかし、必ずしも慰謝料が発生するケースとは限らないため、まずは相手との関係性や状況を把握する必要があります。
①肉体関係の有無
夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の人と肉体関係を持つことは禁じられています。
そのため、法律上における「不倫(不貞)」とは、配偶者以外の人と肉体関係を持つことを指します。
つまり、不倫相手と肉体関係があった場合には慰謝料の支払い義務が生じますが、肉体関係がなければ「不倫」とは言えないので慰謝料の支払い義務は生じないことになります。
ただし、プラトニックな関係の場合でも、二人の関係性が深く、婚姻生活を破綻させる原因になった場合には慰謝料の支払いが認められることがあります。
②夫婦関係は破綻していたのか?
不倫が成立するかどうか判断するのは肉体関係の有無だけではなく、夫婦関係の状態も加味されます。
不倫が行われたよりも前に夫婦関係が破綻していた場合には、不倫慰謝料の支払い義務は発生しません。
なぜならば、法律で守られるべき夫婦生活の平等を維持する権利や利益が存在しないと考えられるからです。
夫婦関係が破綻している状況とは次のような場合が該当します。
- 5年以上別居している
- 婚姻期間が短く、別居期間が長い
- 離婚や調停の手続きを行っている
- 離婚に向けて双方が合意して話し合いを進めている
こうした場合には夫婦関係が破綻していると認められやすいと言えます。
しかし、「最近会話が減った」「相手は離婚を拒否している」などといった状況であれば夫婦関係が破綻しているとは言えません。
③故意や過失はあったのか?
不倫は不法行為に該当するため慰謝料の支払い義務が発生しますが、不法行為は故意や過失があった場合に成立します。
不倫においては、「相手が既婚者と知らなかった場合」や「相手が既婚者と知り得る状況ではなかった場合」であれば、不法行為とは認められずに慰謝料の支払い義務は生じません。
相手が独身と偽って積極的に騙していた場合であれば、反対に相手に対して貞操権の侵害で慰謝料を請求することができます。
ただし、貞操権の侵害は未婚の場合にのみ認められます。
2.慰謝料金額の妥当性を考える
不倫慰謝料の支払い義務が生じる場合には、次に慰謝料の金額の妥当性について考えてみましょう。
不倫慰謝料の金額の相場は、50万円~300万円と言われています。
相場金額を遥かに超える金額であれば、妥当な相場金額へ減額交渉を行える可能性が高まります。
不倫慰謝料の金額は、不倫関係の期間や夫婦関係の状態、不倫の悪質性などから判断されます。
そのため、不倫慰謝料の金額はケースバイケースになってしまうので、適切な相場額を知りたい場合には弁護士へ相談してみましょう。
3.期日までに相手へ何らかの返答をする
不倫慰謝料を請求された場合には、書面の場合であれば支払いもしくは返答の期日が記載されていることが多いです。
そのため、どんな対処をする場合でもまずは期日までに相手に何らかの返答をするようにしましょう。
焦って期日通りに慰謝料を支払わなくてはいけないということではなく、慰謝料を支払う考えはあるものの金額について検討したいといったことを相手に伝えます。
慰謝料の支払い義務がないようなケースでも、まずは相手に連絡をして誤解を解く必要があります。
期日までに返答がなければ相手が裁判手続きを行う可能性があるので、まずは何らかの返答だけでも行うようにしましょう。
不倫慰謝料の示談を成立させるためのポイント
不倫慰謝料の示談を成立させるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
トラブルが大きく発展してしまわないようにするためにも、次のポイントを押さえて相手との示談交渉を行いましょう。
1.誠意を持って対応する
不倫慰謝料の請求者に対して、誠意を持って対応するようにしましょう。
相手は不倫があったことに対して怒りや悲しみなどさまざまな感情を抱えて請求を行っているため、不誠実な対応をすれば逆上させてしまうことになります。
スムーズかつ円滑に示談を進めるためにも、まずは謝罪するなどして誠意を持って対応することが大切です。
2.話し合いで感情的にならない
相手との話し合いでは、冷静に落ちついて対応するようにしましょう。
当事者同士の協議では感情的になってしまうケースも多く、そうなると話し合いが進みにくくなってしまいます。
暴言や脅迫めいた発言が出てしまった場合や、暴力をふるってしまった場合には、トラブルが大きくなって刑事事件になってしまう恐れもあります。
相手が感情的になったとしても、ご自身は落ち着いて対応することを心掛けてください。
3.弁護士に依頼する
不倫慰謝料を請求された場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
そして、慰謝料の支払い義務が生じるようなケースでは、弁護士に依頼することで代理人として全てを任せることができます。
相手との交渉も弁護士が行うことでスムーズに進みやすくなりますし、ご自身で行うよりも減額交渉や示談条件への合意が得られる可能性が高まるでしょう。
慰謝料の相場金額や、法的な視点によるアドバイスも得られるため、まずは無料相談などを利用して相談してみてください。
不倫慰謝料請求の示談が成立した場合の注意点
不倫慰謝料請求の協議を行い、双方が合意すれば示談が成立することになります。
示談が成立した場合には、今後さらなるトラブルに発展しないようにするためにも次の点に注意しましょう。
1.示談書を必ず作成する
示談が成立したら、示談内容をまとめた「示談書」の作成を行いましょう。
示談書を作成することで、「言った言ってない」のトラブルを防ぐだけではなく、慰謝料の追加請求や請求額の変更などの予防にも繋がります。
お互いにとって示談書は大切なものになるので、必ず作成することをおすすめします。
2.示談書に守秘義務や清算条項を加える
示談書の書式や文言などに決まりはないため自由に作成することができますが、示談書の作成の際には必ず「守秘義務」と「清算条項」を加えるようにしましょう。
守秘義務を定めることにより、第三者に不倫の事実を口外しないことを約束することができます。
また、清算条項を定めておくことで、再び不倫問題が蒸し返されることを防げます。
これにより、追加で慰謝料を請求されるなどのトラブルを防ぐことができます。
3.公正証書で違反があれば強制執行される可能性がある
不倫慰謝料の示談書は、公正証書によって作成されることがあります。
公正証書とは、公証役場にて公証人が作成する書面であり、公文書として作成されることになります。
そのため、慰謝料の支払いについて合意したことを公正証書にて作成したにも関わらず、慰謝料の支払いを拒否することや支払いを怠った場合には、強制執行による財産の差し押さえが行われてしまいます。
そのため、示談が成立した場合には、必ず示談の内容通りに支払いを行うようにしましょう。
まとめ
今回は、不倫慰謝料請求の示談について解説しました。
不倫慰謝料を請求された際には困惑や焦りにより、誤った対処をしてしまうことも珍しくありません。
まずは落ち着いて請求された内容を確認し、相手へ何らかの返答を行う前に弁護士へご相談ください。
弁護士に相談することで示談が成立するまでのサポートを受けられるだけではなく、示談書の作成などの手続きも任せることができます。
少しでも早く円滑に問題を解決するためにも、まずは弁護士に相談して今後の対応へのアドバイスを受けてみてください。
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