不倫慰謝料の請求はいつすればいい?慰謝料請求のタイミングや請求時のポイントを解説
不倫配偶者に不倫された場合には慰謝料を請求することができますが、いつ請求すべきかタイミングについてお悩みの方も多いでしょう。
離婚する場合としない場合で請求すべきタイミングは異なり、タイミングを誤ればトラブルが大きくなってしまう恐れもあります。
そこで今回は、不倫慰謝料を請求するタイミングについて解説します。
請求するタイミングごとのメリットやデメリットに加え、慰謝料を請求するためのポイントや注意点も併せてご紹介します。
配偶者が不倫した場合、誰に慰謝料請求できるのか?
夫婦には貞操義務があり、配偶者以外の人と肉体関係を持つことは禁じられています。
しかし、配偶者が貞操義務に反して不倫をしたのであれば、慰謝料を請求することができます。
この慰謝料は、誰に請求することができるのでしょうか?
1.不倫は共同不法行為
夫婦は婚姻共同生活の平和を維持する権利や利益が法律によって守られています。
しかし、不倫はこの権利や利益を不法に侵害する行為なので、不法行為として損害を賠償する責任を負うことになります。
そして、不倫は共同不法行為です。
不倫をした配偶者と不倫相手が共同して行う不法行為になるため、賠償する責任も連帯して負うことになります。(民法第719条)
そのため、配偶者と不倫相手のどちらにも慰謝料を請求することが可能です。
2.離婚しない場合は配偶者に請求してもメリットが少ない
不倫慰謝料は配偶者と不倫相手のどちらにも請求することができますが、離婚しないのであれば配偶者に請求しても金銭的メリットはほとんどありません。
なぜならば、同じ家計から慰謝料が支払われることになるからです。
そのため、離婚しない場合には不倫相手にだけ慰謝料を請求するようなケースが多いです。
不倫慰謝料を請求するタイミングはいつ?タイミング別のメリット・デメリット
不倫慰謝料を請求するタイミングはさまざまですが、タイミング別にメリットやデメリットがあります。
それぞれのメリットとデメリットを知っておき、ご自身のケースに当てはめて慰謝料請求のタイミングを検討してください。
1.離婚しない場合
不倫発覚後も配偶者と離婚しない場合には、不倫相手にだけ慰謝料を請求することになるでしょう。
この場合、請求するタイミングは配偶者との話し合いの前と後の2パターンが考えられます。
①配偶者との話し合いの前
配偶者と不倫していたことについて話し合う前に、不倫相手に慰謝料を請求するようなケースもあるでしょう。
この場合は、配偶者が不倫相手の肩を持ってしまうかもしれないというリスクがあります。
なぜならば、あなたが離婚はしないと決めていても、話し合いをしていないので配偶者の気持ちがわからないからです。
配偶者が不倫相手から慰謝料の相談を受け、配偶者がこっそり慰謝料を肩代わりしてしまうかもしれません。
また、不倫相手に慰謝料を請求したことへ逆上して離婚問題に発展する恐れもあります。
②配偶者との話し合いの後
配偶者と不倫について話し合い、離婚しないと決めた後で慰謝料を請求するのであればデメリットは少ないと考えられます。
不倫関係はきちんと清算され、配偶者も慰謝料請求をすることを把握していればトラブルが大きくなる可能性も低いです。
夫婦関係を修復する必要があるので、配偶者との話し合いの後は速やかに慰謝料請求を行うようにしましょう。
2.離婚する場合
不倫が発覚したことで離婚する場合には、慰謝料請求だけではなく離婚手続きも行わなければなりません。
まずは慰謝料から請求することもできますが、同時進行で手続きを行うようなケースもあれば、離婚が成立して落ち着いてから慰謝料請求を行うようなケースもあるでしょう。
それぞれどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
①まずは慰謝料請求から
不倫が発覚し、相手の合意を得ることなく自分の中で離婚をすることを決めるようなケースもあると思います。
また、相手と話し合いが進まないため慰謝料から請求しようと考える場合もあるでしょう。
この場合には、慰謝料を請求することで相手が頑なに離婚に合意してくれないというトラブルに発展してしまう恐れがあります。
また、離婚手続きや話し合いを始めていない段階で慰謝料を請求すれば、不倫によって受けた精神的ダメージは少ないと判断されて慰謝料の減額に繋がる可能性もあるでしょう。
一方で、離婚の話をせずに一緒に住んでいる段階であれば、不倫の証拠や離婚の準備を行いやすいというメリットもあります。
②慰謝料請求と離婚手続きの同時進行
慰謝料請求の手続きと同時に、離婚手続きも進行させるようなケースもあるでしょう。
どちらも一度に片付けられるますが、手続きが増える分、やることも増えると考えられます。
しかし、弁護士に依頼していれば基本的に手続きや交渉は任せることができるため、新生活の準備に集中しやすいです。
離婚手続きも進めていることにより、不倫が離婚の原因になっていることも証明しやすくなるでしょう。
一方で、慰謝料と離婚請求を同時に行うことで相手を刺激してしまい、慰謝料・離婚請求の片方もしくは両方が拒否されて解決までに時間を要するような可能性もあります。
③離婚成立後
まずは離婚することを優先する方もいるでしょう。
離婚後でも不倫慰謝料を請求することは可能であり、離婚による財産分与とは別物として請求することができます。
離婚と慰謝料を分けて考えやすくなりますが、離婚後に不倫の証拠を集めることは難しいと考えられます。
そのため、離婚成立後に慰謝料を請求する場合でも、離婚前から慰謝料請求できるように準備しておく必要があります。
不倫慰謝料請求のタイミングで失敗させないためのポイント
不倫慰謝料は請求するタイミングによって相手の対応も違ってくる可能性があるだけではなく、慰謝料の金額や結末も変わる恐れがあります。
慰謝料請求を失敗させないためにも、次のポイントについて知っておきましょう。
1.離婚は不倫慰謝料の増額要因になる
不倫慰謝料の相場金額は50万円~300万円と言われています。
慰謝料の金額は過去の判例を参考にして決められることが多いですが、夫婦関係や不倫期間、不倫の悪質性などさまざまな要素から金額の増減を判断します。
そして、離婚の有無も慰謝料の金額の増減を決める要素の1つです。
離婚をすれば精神的なダメージは大きいと判断されて慰謝料が高額になり、離婚しない場合はダメージが比較的少ないと判断されて慰謝料は減額されます。
2.証拠が揃ってから慰謝料は請求する
慰謝料を請求するには、不倫があったということが客観的にみても分かるような証拠が必要です。
法的な不倫とは「配偶者以外の人と性交渉があった」ことを指すため、性行為をしたことが分かるような証拠を集めてから慰謝料を請求しましょう。
ホテルに出入りしている写真や、旅行やホテルのレシート、肉体関係があることの分かるようなメッセージなどが証拠として挙げられます。
3.離婚するならば離婚協議中もしくは離婚後の請求がおすすめ
不倫が発覚したことで離婚することを決めているのであれば、慰謝料請求は離婚協議中もしくは離婚後に請求することがタイミングとしてはベストであると言えます。
なぜならば、不倫が夫婦関係の破綻を引き起こした原因であることが証明されやすく、慰謝料が増額される要因になるからです。
とくに離婚協議中であれば、慰謝料を金銭以外に家などの財産で負担することも含めて考えることができ、財産分与と併せて離婚条件について検討しやすくなるでしょう。
4.配偶者と不倫相手の関係性にも注意すべき
不倫慰謝料を請求する際には、配偶者と不倫相手の今後の関係性にも注意すべきであると言えます。
不倫が発覚したことで不倫相手と配偶者の関係が必ずしも解消されるとは限らず、関係が継続されるような場合もあるでしょう。
その場合、配偶者が不倫相手をかばうようなケースもあれば、二人で口裏を合わせて虚偽の証言などをする恐れもあります。
いずれにしても、配偶者と不倫について話し合ってから慰謝料請求については考えるべきですし、その前に虚偽や証拠隠滅が行われないように証拠集めも行っておくべきだと言えます。
5.慰謝料請求は先送りしすぎないようにすべき
不倫後の夫婦関係についてどうすべきか悩んでしまう方も多いでしょう。
また、離婚してから慰謝料請求をしようとして離婚協議がスムーズに進まないようなケースもあります。
こうした場合は慰謝料請求が先送りになってしまい、その間に証拠が集めにくくなってしまうことがあります。
また、不倫相手が引越しなどをして逃げてしまうような恐れもあります。
そのため、慰謝料請求をする場合には先送りにしすぎないようにすることが大切です。
不倫慰謝料請求における注意点
不倫慰謝料は請求するタイミングが重要ですが、タイミング以外にも注意すべき点があります。
不倫慰謝料請求における注意点についても事前に理解しておきましょう。
1.不倫の証拠集めはバレないようにすべき
不倫慰謝料を請求するには、不倫を証明するための証拠が欠かせません。
そのため、慰謝料請求をする前に証拠集めを行うことになります。
証拠集めを行う際には、相手にバレないように証拠集めを行うことが大切です。
なぜならば、証拠を集めて慰謝料請求をしようとしていることが相手にバレてしまえば、相手は証拠を隠滅する恐れがあります。
不倫が発覚して相手を問い詰めたくなる気持ちも理解できますが、まずは冷静になって証拠集めを行うようにしましょう。
2.不倫相手だけに請求すれば「求償権」を行使される可能性がある
離婚しない場合には不倫相手だけに慰謝料を請求することになりますが、その場合に注意すべき点が「求償権」です。
不倫は共同不法行為になるため、不倫相手と配偶者は連帯して責任を負う義務があります。
しかし、慰謝料の全額を不倫相手が支払った場合には、相手は自分の責任を超えて支払った部分を不倫した配偶者に対して支払うように請求することができます。
このことを求償権と呼びます。
示談の際に求償権の放棄を条件に加え、後から求償権が行使されないようにしましょう。
3.慰謝料請求には時効がある
慰謝料請求よりも離婚を優先するようなケースも多いですが、時効に注意してください。
慰謝料の請求権には時効があり、時効が成立すれば請求権は消滅してしまいます。
損害や加害者を知ってから3年が時効になるため、3年以内に請求を行うようにしましょう。
時効が近付いているような場合には、少しでも早く慰謝料請求をすることをおすすめします。
不倫慰謝料の請求のタイミングを弁護士に相談しましょう
不倫慰謝料請求のタイミングで困っている場合には、弁護士に相談してみてください。
今後の流れを踏まえて慰謝料請求すべきタイミングについて教えてもらうことができるでしょう。
また、慰謝料の相場金額や不倫の証拠についてもアドバイスを得られるため、慰謝料請求に向けて準備を行いやすくなります。
慰謝料や離婚請求はどちらも弁護士に依頼することも可能なので、依頼すれば交渉や手続きを全て任せることができます。
弁護士に任せればご自身で交渉するよりも慰謝料の金額の増額が期待できますし、有利な条件で離婚しやすくなります。
不倫問題は当事者同士の感情によって複雑化しやすいため、第三者である弁護士に任せてスムーズな解決を目指しましょう。
まとめ
今回は、不倫慰謝料請求のタイミングについて解説しました。
不倫慰謝料を請求するタイミングによって相手の対応や慰謝料の金額などに影響する恐れがあるため、慎重に請求のタイミングは検討すべきです。
弁護士に早めから相談していれば、慰謝料請求の準備から請求のタイミングも併せてアドバイスを受けられます。
交渉や手続きなども任せられるため、精神的なサポートにもなるでしょう。
不倫慰謝料請求の問題は、一人で悩まずにまずは弁護士へご相談ください。
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