浮気相手から慰謝料請求されたら支払うべき?慰謝料請求の対処法を解説

パートナーがいるにも関わらず浮気をしてしまい、その浮気相手から慰謝料請求をされて困っていませんか?
パートナーにバレたくない一心ですぐに慰謝料を支払ってしまう方もいれば、慰謝料を支払いたくないと考える方もいるでしょう。

浮気相手からの慰謝料請求は支払うべきケースもありますが、支払わなくてもいいケースもあります。
そこで今回は、浮気相手からの慰謝料請求の対処法について解説します。

浮気相手から慰謝料請求されたら慰謝料は支払うべき?

浮気相手から慰謝料請求をされれば、困惑や焦りでどのように対処すべきか迷ってしまう方が大半でしょう。
浮気相手から慰謝料請求された場合、相手の言うとおりに慰謝料は支払うべきなのでしょうか?

1.慰謝料とは

慰謝料とは、精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償のことを指します。
浮気相手から慰謝料請求された場合、浮気相手はあなたに精神的苦痛を与えられたという理由で慰謝料を請求していることになります。
また、民法710条では不法行為に対しても精神的損害があれば慰謝料請求が認められており、浮気の慰謝料請求の場合は「不貞行為」という不法行為に該当する可能性があります。

2.慰謝料を支払うかどうかはケースバイケース

浮気相手から慰謝料請求された場合、慰謝料は必ずしも支払わなければならないということはありません。
慰謝料を支払う必要があるかどうかはケースバイケースになります。
そのため、慌てて慰謝料を支払わないように注意すべきです。
もし焦って相手の言うとおりに慰謝料を支払ったものの、慰謝料を支払わなくてもいいケースだったと後から気付いた場合、相手に慰謝料の返還を求めることは難しいものです。
浮気相手から慰謝料を請求された場合には、落ち着いて慰謝料を支払うべきケースなのか検討する必要があります。

浮気相手に慰謝料を支払わなくてもいいケースとは

浮気相手に慰謝料を請求されても、法律上で慰謝料の請求が認められないようなケースであれば、慰謝料を支払う必要はありません。
浮気相手に慰謝料を支払わなくてもいいケースから見ていきましょう。

1.自分が独身の場合

自分が独身であり、パートナーとは内縁関係や婚約関係ではない場合には浮気をしても慰謝料は発生しません。
夫婦の場合は貞操義務があるため、パートナー以外の相手と性的関係を持つことは不法行為に該当します。
しかし、恋愛関係でのパートナー間には貞操義務がなく、自由恋愛をすることができます。
そのため、浮気相手から慰謝料を請求されたとしても、自由恋愛に基づいた関係のため慰謝料は発生しません。

2.既婚者であっても支払わなくてもいいケースがある

結婚しているのに浮気をすれば、慰謝料が必ず発生するとは限りません。
自分が既婚者であり、浮気をした場合でも慰謝料が発生しないケースがあります。

 

①肉体関係がない

そもそも浮気とはどのような行為まで「浮気」だと判断するのかは、個人差があると言えます。
浮気は法律上では「不貞行為」と呼ばれ、「配偶者以外の相手と肉体関係を持つこと」を指します。
何度かデートをした場合や、キスや手を繋ぐといったスキンシップした場合だけでは不貞行為にはなりません。
そのため、肉体関係のない相手から慰謝料を請求されたのであれば、慰謝料を支払う必要はないということになります。

②既婚者であることを相手が認識していた

浮気相手が既婚であることを認識した上で同意して関係を継続していたのであれば、慰謝料は発生しません。
なぜならば、不法行為は故意や過失がある場合に成立するからです。
相手が既婚者であることを知っていれば、不貞行為を「故意」に行っていたことになります。
また、既婚者であることを知らなかったことに何らかの落ち度がある場合には、不貞行為への「過失」があると考えられます。
そのため、浮気相手が既婚者であることを知らなかった場合や、知り得る状況ではなかった場合以外では慰謝料は発生しないと言えます。

③夫婦関係がすでに破綻していた

浮気をした時、既に別居などをしていて夫婦関係が破綻していたのであれば浮気をしても慰謝料は発生しません。
夫婦は「共同婚姻生活を平穏に維持するための権利や利益」が法律によって保護されていますが、夫婦関係が破綻しているのであれば法律で保護するべき権利や利益は存在しないことになります。
そのため、夫婦関係が修復できないほど破綻していたのであれば、慰謝料を請求されても支払う必要はないと言えるでしょう。

④時効が過ぎている

慰謝料請求には時効があり、時効が過ぎているのであれば慰謝料を請求することはできません。
不法行為への慰謝料請求の時効は3年で、除斥期間に20年設けられています。
相手が既婚者であることや夫婦関係が破綻していなかったことを知ってから3年間が時効になり、相手との関係が終わってから20年間が除斥期間です。
この期間を過ぎていれば、慰謝料を支払う必要はありません。

浮気相手に慰謝料を支払わなくてはいけないケースとは

浮気相手に慰謝料支払わなくてもいいケースを紹介しましたが、慰謝料が発生するケースもあります。
次のような場合には、浮気相手に慰謝料を支払う必要があります。

 

1.独身だと嘘をついて肉体関係を持った

結婚しているにも関わらず、独身だと嘘をついて肉体関係を持った場合には慰謝料が発生します。
肉体関係を持つことは自由意志で判断して決定するという「貞操権」という権利がありますが、独身だと嘘をついて肉体関係を持つことは貞操権を侵害する行為になります。
結婚していることを知っていれば関係を持つことはなかったため、権利の侵害になるのです。
貞操権の侵害は不法行為になるため、損害賠償として慰謝料が発生します。

 

2.夫婦関係が破綻していると嘘をついて関係を持った

夫婦関係がすでに破綻していると嘘をつき、「妻とは別れる」「結婚しよう」といったことを言って関係を持った場合には慰謝料が発生します。
この場合も上述した貞操権の侵害に該当し、事実を知っていれば関係を持たなかったと考えられることから慰謝料が認められます。

 

3.相手の合意を得ずに無理矢理関係を持った

暴行や脅迫を用いて相手の合意を得ずに無理に関係を持った場合も貞操権の侵害となり、慰謝料が発生します。
お酒に酔わせて意識のない相手と関係を持つことも同様です。
これらの行為は、犯罪です。
そのため、民事上の損害賠償請求だけではなく、強制性交罪等の刑事処分を受ける可能性があります。

 

浮気相手から慰謝料請求された場合に確認すべきこと

浮気相手から慰謝料請求された時は、まず慌てずに請求された内容について確認を行います。
記載内容を確認し、今後の対応や対処について検討しましょう。

 

1.請求相手

慰謝料を請求してきた相手の名前を確認します。
そして、内容証明などの書面で慰謝料請求が送付された場合には、代理人の名前を確認しましょう。
行政書士や弁護士が代理人として内容証明を作成しているケースもあります。
行政書士が作成している場合には、今後の交渉は請求相手本人と行うことになります。
一方で、弁護士が作成している場合には、今後の交渉や訴訟の提起なども弁護士が行うことになります。

 

2.請求内容が事実であり、証拠はあるのか

慰謝料請では、慰謝料請求する側が不法行為を特定して、証拠で証明する責任があります。
そのため、内容証明であれば、何に対して慰謝料を請求するのかといった内容が記載されています。
その内容が事実であるのか確認し、慰謝料を支払う必要があるのか判断しましょう。
ただし、内容証明では証拠が同封されていないケースが多くなっています。
慰謝料を支払う必要があるようなケースならば、客観的な証拠の有無についても確認すべきです。
事実について相手の誤認や、双方の認識の違いなどが生じている可能性があるため、証拠で確認を行います。

 

3.慰謝料の支払い日や金額

慰謝料請求内容には、慰謝料の支払い日や金額についても記載があります。
その日までに絶対に支払わなければならないという法的効力があるわけではありませんが、記載されている期日内に何らかの返事をしなければ相手が訴訟を提起する恐れがあります。
慰謝料の支払い日と金額を確認し、期日内までに相手に返答をするようにしましょう。

 

慰謝料請求された時の注意点

慰謝料請求をされた場合には、落ち着いて適切な対処を行う必要があります。
感情的になって対処すればトラブルが大きくなる可能性や、誤った判断をする可能性があります。
慰謝料請求をされた場合の注意点を紹介するので、次のことに注意しながら対処するようにしましょう。

 

1.慰謝料を請求されたら放置しない

慰謝料請求の内容に納得できないという場合や、慰謝料請求に応じるつもりはないという場合には、慰謝料請求を放っておこうと考えるかもしれません。
しかし、慰謝料請求を放っておけば、相手が裁判を起こす恐れがあります。
裁判になれば、慰謝料請求を無視したことがマイナス点となり、慰謝料金額が高額になってしまう可能性もあるのです。
そのため、慰謝料請求された場合には、放置せずに適切に対処することが大切です。
身に覚えのない内容や、慰謝料を支払う必要がないケースであっても無視せずに対応しましょう。

 

2.慰謝料金額の妥当性

慰謝料金額は法律で定められていないため、請求者が自由に設定することができます。
そのため、非常に高額な金額を請求されるようなケースもあります。
裁判では慰謝料金額を決める際には、過去の判例を基にして浮気の状況など総合的に判断されます。
裁判による慰謝料金額の相場は50万円~200万円です。
請求された慰謝料金額が妥当であるのかどうか検討しましょう。

 

3.相手を配慮した対応をする

慰謝料請求の対応では、慰謝料を請求した相手の心情を配慮した対応をすることが大切です。
相手を傷つけるような言動や、怒りを増幅させるような対応をすれば、大きなトラブルに発展してしまう恐れがあります。
慰謝料請求では当事者同士で交渉を行うこともありますが、どうしても感情的になってしまいがちです。
交渉を行う際には冷静かつ相手を配慮した行動を取るようにしましょう。
スムーズかつトラブルを回避した交渉を行うためにも、慰謝料請求の交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。

 

4.合意する際には書面を作成する

慰謝料金額や支払い方法などで双方が合意に至った場合には、慰謝料を支払う前に合意内容を書面にしましょう。
口約束だけでは、言った言わないなどのトラブルに発展することも少なくありません。
慰謝料が再請求されるような事態を避けるためにも、必ず合意書の作成は必要です。
慰謝料請求では請求相手が一方的に作成した示談書を用意してくるケースもあるので、記載内容をしっかりと確認してから署名をするようにしましょう。
一度合意してしまえば、取り消しや無効請求することは困難です。

 

慰謝料の金額が高額で支払えない場合

慰謝料を支払わなければいけないようなケースであったとしても、請求された慰謝料の金額が高額すぎて支払えないというような場合もあるでしょう。
そうした場合には、減額交渉や分割払いの交渉で対応をします。

 

1.減額交渉する

慰謝料金額が相場よりも高額な場合には、減額交渉を行います。
請求相手は減額交渉を受ける可能性があることを見越して高額な金額設定にしていることも多いです。
そのため、交渉をすれば慰謝料金額を減額できる可能性があります。
また、慰謝料金額が相場の額であったとしても、減額交渉は可能です。
経済的事情などから支払えないことが分かれば、減額交渉に相手が応じることもあります。

 

2.分割払いの交渉をする

慰謝料の金額には合意して支払うつもりがあったとしても、一度で支払うことは難しいケースもあるでしょう。
その場合は、分割払いの交渉を行います。
裁判になれば一括払いを請求されることになりますが、当事者間の協議であれば分割払いの支払いを交渉することができます。
ただし、分割払いは請求相手にとってはリスクが大きいため、合意に至ったとしても遅延や未払でのペナルティが設けられます。

 

3.弁護士に依頼する

慰謝料の金額が高額で支払えない場合だけではなく、慰謝料の請求を受けた時点で弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、慰謝料の支払いの必要性や、相場金額を知ることことができます。
また、依頼することで交渉を任せることができるため、自分で交渉するよりもスムーズかつ有利な条件で合意に至る可能性が高いです。
訴訟になった場合も全て対応を任せることができるため、精神的負担も軽減されるでしょう。

 

まとめ

今回は浮気相手から慰謝料請求された場合の対処法について解説しました。
慰謝料を請求されたら慌ててしまい、適切な対処ができなくなるケースも少なくありません。
慰謝料請求から更なるトラブルになることを避けるためにも、弁護士に慰謝料請求の対処について相談することをおすすめします。

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